「目と目が合ったらポケモンバトル。それがトレーナーのルールよ」
「分かってます!俺はサトシ。こっちは相棒のピカチュウです!」
たまたま道で出会ったお姉さんにサトシはバトルを申し込まれた。やる気満々に自己紹介をしたサトシはバトルをしたくてうずうずしているはずだ。
「そんなルールがあるんだ?」
「あるような、ないような。でも結構スタンダードですよ」
『そうそう。野良バトルはだいたいこんな感じで始まるんだ。さすがバトル好きなサトシね。慣れてる』
セレナが不思議そうに聞いてきたのでシトロンと一緒に答えてあげる。セレナは最近トレーナーになったばっかりって聞いたし野良バトルは新鮮なんだろうな。
「私はプルミエ。出てらっしゃい、ニンフィア!」
プルミエさんはボールからニンフィアをくり出した。丁寧にお世話されてるのかリボンや毛並みも綺麗なのが遠目で見ても分かる。
「見たことないポケモンだ!エーフィに似てるな…」
そう言ってサトシはニンフィアに図鑑をかざした。ニンフィアの説明が流れる。
"ニンフィア 結びつきポケモン"
"イーブイの進化系 大好きな トレーナーに リボンのような 触覚を 巻きつけ 一緒に歩く"
「そうか!やっぱりイーブイの進化系なんだな」
「ちなみにニンフィアはフェアリータイプのポケモンなんですよ」
「フェアリータイプ?」
「そう!あたしのデデンネと同じタイプだよ」
『ピカチュウもヤヤコマもケロマツもタイプ相性は悪くないよ。まあ、良くもないけど』
「そうなんだ!初めてのタイプ、初めてのポケモン、臨むところだ!ケロマツ、君に決めた!」
サトシはそう言うとケロマツをくり出した。
こうして、サトシとプルミエさんのバトルが始まろうとした。
「ひとつ約束。私が勝ったら付き合ってもらうわよ?」
そうプルミエさんが言うと横にいたセレナがかなり動揺し始めた。
「えっ、付き合う!?サトシと?プルミエさんが?」
セレナは何か勘違いしているみたいだけど、今は敢えて何も言わないでおこう。
サトシもサトシで何も知らずにプルミエさんの提案にOKしてしまっているから、先は長いというかセレナに少し同情してしまった。まあ、私も人のことは言えない。
そう思ってちらっとシトロンの方を見るも、この間みたいに目が合うはずもなく、サトシのバトルを夢中になって見ていた。こっちも先は長そう。
*
バトルはプルミエさんの勝利に終わった。ケロマツもニンフィアもいい勝負だったんだけど、ニンフィアのメロメロが勝敗を分けた。
ケロマツにメロメロが効いている間にドレインキッスで戦闘不能になってしまったのだ。
「ケロマツ!大丈夫か?」
「ドレインキッスでエネルギーを吸い取られたんですね」
「戦闘不能、バトル終了ね。オレンの実よ、使って」
プルミエさんが持っていたオレンの実を受け取るとサトシはケロマツに食べさせた。
「私の勝ちよ。約束どおり付き合ってもらうわ。ついてきて」
そう言ったプルミエさんに私たちは着いていった。一体どこに、そして何に付き合わされるんだろう。