ラブレターを書いてみる






女子慣れしてないのは僕自身1番分かってる。
話す時も上手く目を合わせれないし、緊張もめちゃくちゃする。
だけどそんな僕を気にせず接してくれて、赤点取りそうでヤバイ時は勉強も教えてくれる。そんなナマエの事を好きって自覚したのはついこの間。
他の男と話してるのが凄い嫌でイライラしたってエースに言ったら「お前、ソイツの事好きなんじゃね?」と適当にスマホを弄りながら返された。


「なっ、す、好き……?」
「そうそう、好き。あれ?デュースくん顔赤いでちゅよ〜?」

僕のほっぺをぷにぷに突いてニヤニヤしてくるエースに若干イライラした。
なんだコイツは、人の話を聞く気があるのか。僕が必死にイライラを抑えようとしているとまたエースが口を開いた。

「へぇー、あのデュースにも春がねえ。…ね、もしかしてナマエ?」
「はっ、エースなんで分かったんだ!」
「あ、やっぱり?デュース分かりやすすぎんだよなあ。ナマエと喋る時だけ、かなーりぎこちないの気づいてないワケ?」

相変わらず頬杖を付きながらニヤニヤしているエースは多分だけど全部分かってる。
この際、おちょくられるのは覚悟で全部話すことにした。



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「ほぉ、それで初心で童貞なデュースくんはどうしたいの?」

初心も童貞も余計なお世話だ、と言いたかったけど飲み込んだ。僕よりも経験はあるであろうエースにしかこんな話はできないし、一人で考えても何も思い浮かばないからだ。

「ど、どうしたいって。それは、もっと仲良くなれたら良いなとは…」
「キスしたい、とか、ヤリたいとか思わないの?」
「なっ、キッ、、ヤッ、、」
「オレらもいっちょ前に男子高校生なんだから、そのぐらい欲あるっしょ。童貞デュースくんは普段どういうので抜いてるワケ?」

監督生がここにいたら下品だ、とか何とか言いそうな話になってしまった。なんで夜のオカズの話になるんだ。
オレはね〜、と勝手に自分のオカズの話をし始めたエースに少しだけ呆れる。
しかし興味が無いわけでは無いから話に乗っかることにした。

「デュース、お前相当だな」
「…何がだ」
「いや、気持ちは分からなくもないけど。流石に全部ナマエに似てる女優はキモい。しかも無意識って1番タチ悪いやつじゃん」
「エースに言われたくないな。全部巨乳じゃないか。監督生にチクるぞ」

真顔でやめろ、と言うエースには内緒で後で監督生にメッセージ送ってやろう。さっきまで馬鹿にした仕返しだ。

「てか、ナマエと進展したいなら告白するのが1番じゃね?」
「こっ、告白なんて、僕は、したこと無いぞ」
「簡単、簡単、好きっていうだけだって」
「ど、どうやって」

僕がどうやってするのか聞いたら、人差し指を左右に振って「チッチッチー、デュースくん分かってないなあ。人にお願いするときは何するんだっけ」と言ってきた。
交渉の末、今日のお昼は全部僕が持つことになった。スペシャルコロッケサンドを注文してくる辺りはちゃっかりしてる奴だ。

「放課後に鏡舎裏辺りに呼んで告白がやっぱりベタなんじゃない」
「?…僕はナマエの連絡先知らないぞ」
「ハアーー、連絡先知らないとかイマドキどうなのよ…」

目を丸くしてこちらを見つめるエース。そんなに驚くことか?
まあ連絡先を聞こうと思ったことは何度かあるけど、いざ聞こうと思うと緊張して聞けなかった。
それに毎日学校で会ってるし、と思い僕は連絡先を聞く事を断念したんだ。

「あー、じゃあもう手紙かけば?」
「手紙か、なるほどな。それはどうやって渡すんだ?」
「ロッカーか机に忍ばせる」
「分かった。明日、…僕は告白する!」
「おー、頑張れ。当たって砕けろだ、デュース」

思い立ったらすぐ行動だ、と思い早速僕は明日人生初めての告白をすることにした。
放課後にでも手紙を書いて机に忍ばせておこう。