I will be in place for you


なまえの肌は白い。
その所為か、病弱で冷たい印象を受ける。

実際、触れてしまえば温かいし繋がっている部分は熱いのに。
その白さは不安感をあおるから、僕はその白い肌にいくつも赤い痕をつける。



「ねぇ、悟、付けすぎだよ、これ」
「いいんだよ、それで」
「なに、それ。困るよ。」

頬を膨らませて抗議しながらも、自分の肌についた痕を見て少しだけ嬉しそうななまえ。
さっきまでおかしくなるほど抱いたのに、また不安感に襲われてなまえをそっと抱きしめた。その肌からはじんわりと温もりが伝わってきて、ようやく僕はホッと胸を撫で下ろした。



「なに?どうしたの悟。甘えた?」
「そうかも」
「ふふ、嬉しい」
「こんなんで嬉しいもの?」
「嬉しいよ。悟はいつも出すもの出したらそっけないから」
「そんなことないのになぁ」


手を伸ばして、僕の頭を撫でるなまえ。
その子供のように屈託の無い笑顔に、僕の不安なんて取るに足らないものだろうと思えた。僕がなまえを好きで、なまえも僕が好きで、こうして肌も重ねて一緒に居るのに、唐突に不安に襲われるのはなぜなんだろう。言葉では説明できないなにかが僕の中にあった。



「なまえ、ずっと僕の側に居てね」
「なに?変だよ?」
「約束、だからな。返事は?」
「嫌だって言っても離してくれないくせに」
「嫌なの?」
「嫌じゃないよ。嫌だって言われたら泣いちゃう」
「泣かせないし、離さない」
「ふふ、嬉しい」


額を寄せて、唇を重ねた。
何度も何度も、キスをした。

なまえの居場所は、ここにあるんだとなまえに教えるために。
闇よ、どうかなまえだけは連れて行かないで。なまえは僕の唯一の光なんだ。光を失ったら僕は進むべき道すら見失ってしまう。

だから、お願いだから。


「なまえ、好き」
「知ってるよ」
「うん、それでも言わせて。好き、大好き」
「どうしたの悟?」
「なんでもない。ただ言いたかっただけ」


僕の心臓を抉るような焦燥感をなまえは知らなくていい。
この感情は僕だけが知っていればいい。だからなまえは何も気づかず何も言わず、ただ僕の側に居て。いつかその炎が消えるまで。