まだ蕾のままのサボテンの花

二人っきりの部屋。なのに放置状態の俺。彼女のなまえさんは、どうしても終わらない報告書があるらしくずっとパソコンとにらめっこ。悟と一緒に行った任務なら、悟にも手伝わさせればいいのに。悟になまえさんとの時間を取られるのはやっぱりおもしろくない。

今日なまえさんの家に行きたいって言ったのは俺の方からだし、仕事終わらせてからのほうがゆっくり出来るって言われたしで、なまえさんが仕事を優先することに不満はない。報告書の作成がめんどくさいのも知ってる。だから、不満はあるけど、ない。


「高菜?」
「もう少しだよ」
「おかか」
「え、言ったっけ。ごめんね、今度こそもう少しだから」
「明太子」


本当に申し訳なさそうに「ごめんね」って顔をされたら、許すしかない。だけど、やっぱり少しでも触れてたくて、温もりを感じたくて、ソファの前でラグの上に座ってるなまえさんのことを後ろから抱きしめた。


「ツナ?」
「や、待って」
「おかか」
「ん〜〜」
「すじこ、高菜」


拒否権なんてない、の言葉通り、腰に回した手に力を込めた。いいよ、の言葉の代わりに抱きついている俺の手の上に手のひらを重ねてくるなまえさん。肩口に顎を乗せて、「がんばって早く終わらせてくださいね」と耳元に息を吹きかける。ぴく、と反応したかと思えば、すぐに真っ赤になる耳。あぁ、かわいいなって満足感が訪れる。


「こんぶ?」
「んー一時間くらいかなぁ」
「おかかおかか」

あと10分って言われたらきっと我慢できたけど、一時間は我慢できない。だって俺は年下で男の子だから。目の前においしそうななまえさんが居て、それを我慢するのは無理だよ?「あとちょっとだけ」と言って俺のこと無視するなまえさん。ちょっとイラついたから、その首筋にちゅ、と音を立ててキスをした。


「棘、本当にあとちょっとだから」
「おかか!」
「でも、」
「黙れ」

ちょっとだけ身体の向きを変えさせて、今度は唇に吸い付く。何度も角度を変えて、もう俺のことしか考えられなくなるくらい執拗に。どれくらいしただろう、ようやく唇を離した時にはもうなまえさんはオンナの顔になってた。だらしなく口の端から涎を垂らして、浅い呼吸を繰り返して。


「高菜、」


「煽ったのはなまえさんだよ?」と告げたあとペロリ、唇を舐めた。「まだまだ足りない」って顔をしているなまえさんを抱えてベッドルームに移動する。首に巻き付いた腕は肯定と受け取った。絶対すぐになんて終わらせてやらないから。覚悟してね、なまえさん。