メルト「大丈夫、大丈夫」

少しの辛抱よ、と言い聞かせて、ついにその手を穴へと侵入させていく。
決して中の粘膜に接触しないよう、もしくは身体の他の部位がミーナの皮膚へ接触しないよう、最新の注意を払いながら、徐々に奥へ。
ある程度に達したところで、緻密な位置調整をするかのように、内部で手を前後させ、やっと狙いを定める。

メルト「準備完了……っと」

サキュバスはタラリと額から汗を覗かせるが、その真剣な様子を見せてミーナが恐怖しないようニコリとする。

メルト「……いい?カウントダウンを始めるわ。もっと気持ち良くなっちゃう魔法なの」

私が、3……と言ったら、ミーナちゃんは2よ、と簡潔に説明する。
1と0はメルトがカウントするらしい。

ミーナ「う、うんっ」

メルトが自分のことを考えて微笑んでくれているのを見て、先程までの恐怖はいつの間にか消え失せていた。
彼女の説明にも素直に頷く。

メルト「じゃあ、始め」

昂る感情を必死に抑えて、最後まで神経を集中させようと努力する。決して手元が狂うことは無い。

メルト「3……」

ついに終幕を迎える性戯に、極限の高揚を覚えながら、カウントダウン。
促すようにミーナの目を見る。

ミーナ「2……」

メルトに促され、カウントダウンに応える。
これから来る未知の快感にドキドキしている。

メルト「1……」

鼓動が速くなる。
トロトロした愛液が手の平に垂れてきたので、取り乱しそうになってしまうが、抑える。
指の位置を確定して、完全に整ったところで、心を無にして、来るタイミングをひたすらに待つ。

ミーナ「………」

いよいよ。
ミーナはゴクリと唾を飲み込み、身構えた。

メルト「……ゼロ」

瞬間。
指を三本、同時に伸ばして、ミーナの腟内の三点に接触。
そして強めにグッと押す。じんわり熱い感触がメルトに伝わる。

それらは全て"スポット”である。"G”は勿論のこと、その付近の二点を正確に、少しの座標のズレもなく、秘孔を突くように。

人体が受容できる限界量の媚薬を投与したため、その快感は、最早"気持ちいい”だとか、"辛い”では収まらない。少なくとも、大人であれ、すっかり理性を失ってしまう。

一箇所責められただけでも簡単に絶頂してしまう場所を、最強のドーピングと共に、三箇所刺激を加えられるのである。

ミーナ「ひああああああああぁぁぁ!?」

思いきり背中が跳ねると同時に目を見開いて絶頂する。

ミーナ「あ……あぁ……」

絶頂後、白目を剥き、口から涎を垂らしながらビクビクと痙攣している。
今まで3回もイかされている上に、イけない焦らしからの解放、更に最強のドーピングと共に与えられる強い刺激。
快感に慣れていないミーナが耐えられるはずがなかった。

メルト「ああ……あぁ」

性器から手を抜き、通常の大きさに戻すと、付着した液体をベロベロと舐める。

あられもない姿に犯されてしまったミーナを崇高なものとして見るように、嘆声を出しながら、顔を見て、また恍惚とする。

メルト「すごいわ……!これほどの膨大なエネルギー……!決して、今までには味わってこなかった!」

もっとその姿でいて頂戴、と今にも狂喜乱舞しそうな勢いで、テロンとミーナの頬を撫でる。
かと思えば、ミーナから溢れ出た愛液やら涎やらを、四つん這いになりながら全て口に含ませ、回収する。その度に、翼と尻尾が発作を起こしているかのようにブルブルと震える。

ミーナ「ひぃ、んっ……!」

頬を撫でられた僅かな刺激でもビクッと反応してしまう。
しかしまだ動けるほどの気力は無い。

メルト「……ああっ!苦くて甘くて酸っぱい……これよ、これ……!もう、最高……」

狂ったようにクスクスと笑いながら、ミーナの体液の残った水滴レベルまで、根こそぎ、まるごと。

メルト「これは愛液の味ね?これは尿、これは汗、これは涙……!」

その風貌は何を隠しようもなく、醜いサキュバスの生態そのものであった。
いひひひ、と汚い笑い声で、抵抗を見せないミーナを、愛しそうにまたひと舐め。

ミーナ「ああっ……!」

メルトのひと舐めだけで軽くイってしまいそうなほど体は敏感になっている。
しかしもう抵抗力は無く、メルトのされるがままになってしまっている。

メルト「はぁっ……はぁっ……」

そこまでして、ようやく僅かに理性を取り戻したらしく、ミーナの耳へ囁く。

メルト「大丈夫……?喘げるってことは、危険は無いのでしょうけど……」

若干心配そうにしながら問う。しかし、ミーナから間接的に流入してきた快感エネルギーが、メルトの本能を著しく活発化させており、一つ何か快楽を誘発するような行為を目の前に提示されれば、理性を放棄してそちらに飛びついてしまうだろう。

ミーナ「……んんっ……だいじょぶ……」

ようやく落ち着いてきたのか、そう答える。
けれど内心疲れきっていて、とても大丈夫とは言い難かった。
再びメルトに何かされてしまえば、今度こそどうなってしまうかわからない。

メルト「そう、良かった」

とは言いつつ、少々寂しそうにしている。

メルト(これ以上刺激すれば本当に意識が戻らなくなるかもしれないから……仕方がない)

コクン、と小さく頷いて、自分の中で納得しては、全身が濡れたミーナに近づいて、見つめる。

メルト「よく頑張ってくれたわ……。今の“気持ちいい”のは、大人でもそうそう耐えられないもの」

ミーナ「わたし、がんばった?へへ、うれしいな……」

そう言って弱々しくだが笑う。

ミーナ「メルちゃん、元気になった?また気持ちいいことしたくなったら、呼んでもいい?」

あれだけメルトに何度もイかされて酷い恐怖を味わったのに、それでもまた会いたいと思うのは、いつの間にかメルトに魅了されたからか。
もしくは、橋の下でずっとひとりぼっちで生活していたミーナにとって、初めて心を許せる存在に出会えたからか。

メルト「ええ、勿論」
(ここまでのエネルギーを提供してもらえるなら本望だわ)

微笑みかける裏で、酷く利己に傾倒した思考をしていることを、決して彼女にバレるわけにはいかない。

口に手を当てて考える素振りを見せると、うーん、と唸る。

メルト「この状態じゃ、服は着られないわね……どうしたものか」

今のままじゃ、寒くなってしまうから、と心配そうに。

ミーナ「んんっ……着る……」

“自分で出来る”と言いたげな様子で、そう言って起き上がろうとする。

メルト「……そう?なら、良いけれど……」

自分で動くミーナを見守り、少々の安堵。
自分の行為で上手く動けなくなったりしていたら、どう責任を取ればよかったのか。

ミーナ「んしょっと……」

服をかき集め、ひとつずつ身につけていく。
先程の疲れで少し動きはぎこちないが、無事に全て着ることが出来た。

メルト「よくできました」

健全な姿に戻って一旦は安心だが、それでも依然として、メスのフェロモンは出続けている。弱まりつつあるため、時間の経過によって消失へ向かうだろうが、サキュバスの性質からして、敏感に感じ取ってしまうため、心配である。

メルト「……しばらくは、一緒に居ましょう」

もう今日は辛いことしないから、とミーナに約束しながら、それを提案する。
くだんの件によって、始末した後でも、油断出来ない。メルトは半ば保護者のような意識を持ち始めていた。

ミーナ「ほんと?」

嬉しそうに答え、メルトに擦り寄る姿はまるで猫のようだ。

メルト「本当よ」

破顔。
猫を愛でるように顎裏をスリスリと撫でて、抱きしめた。
大分理性を取り戻したのか、眼光は鋭くなく、表情は穏やかである。正常な判断が出来るレベルまでになっていた。

ミーナ「んみゃあ♪」

猫の血が流れている影響か、喉を撫でられるのはやはり気持ちいいようで、より頭を擦り付ける。
メルトに抱きしめられるとミーナも嬉しそうに抱きしめ返した。

メルト「ああ可愛い……仕方もなく愛でてしまうわ」

両翼をフルフルとさせつつも開かない。
なるべく一人の人間として、否、正確には人間では無いのだが、純粋な愛情で接することができればと考えている節があった。出来る限り、悪魔としての要素を以てミーナと関わりたくなはないと感じていた。
サキュバスにとって、それは有り得ない感情でありつつも、それが事実であるのなら、それも面白いのではないかと、メルトは受け入れ始めていたのである。

メルト「休みやすいようにソファを用意しましょうね」

ベッドを消し去ると、その魔力をそのまま放出して、それを作り出す。ミーナにそこへ座るよう促すと、自分も一緒に腰を下ろそうとする。

ミーナ「うんっ!」

嬉しそうにソファに座り、しっぽをゆらゆら。
メルトが腰を下ろすと再びぴたっとくっついて。

ミーナ「メルちゃんあったかぁい……」

メルトを抱きしめると、伝わってくる温もりに安心して目を閉じる。
メルトの温かさに包まれ、ミーナの意識は途切れる。
しばらくすると寝息が聞こえてくるのがわかるだろう。

メルト「ゆっくり、おやすみなさい」

そうして抱き合ったまま、メルトも重なるようにして瞑った。
彼女だけに、ありったけの愛を向けて、眠った。



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