照れ顔

「陽向って進学するの?」

「いきなり何?」


ミリオと買い物しながら歩いていると突然言われる

トマトを持って何を思ったのだろうか

持っていた野菜を棚に戻して歩く

カートを押してミリオが追いかけてきた


「ほら!俺はヒーローになるじゃん?」

「そうだね」

「ゆくゆくは陽向は俺の奥さんになるけど結婚は25になってからって陽向言ってたしその間やっぱり大学とか行くのかなーって!」

「ちょっと、何でアンタと結婚前提なわけ?」

「え?中学の時に25にプロポーズしてって言っただろ?」

「私そんな事言った?」

「言った」


全く覚えてない事だが余りにも自信満々に言うミリオに不安になる

ニコニコと笑うミリオを横目にカートを押して行く

ミリオはトマトを元の場所に戻すと慌てて追いかけてくるのが分かる

今日の夕飯はどうしようかと鮮魚コーナーを眺めているとミリオがさっきの続きを催促するようにねぇねぇと声をかけてくる

うるさいと遇いながら本日の目玉商品を見ているとぐい、と肩を掴まれてそのままミリオの方に体を向けられた


「俺にとっては大事な事なんだよね!!」

「ほんっとうに執拗いわね!事務仕事出来なそうなアンタの代わりに覚えてやる予定何だからギャーギャー騒がないでよ!」

「へ、それって・・・」


声を出した所で冷静になり周りを見渡すとニヤニヤと見てくる買い物客の視線に顔が赤くなる

近所のスーパーだから顔見知りが多いのだ

ミリオに文句を言おうと顔を上げると珍しくミリオもミリオで顔が赤くなっていて言葉が出なくなった


「・・・ミリオ?」

「待って、見ないで」

「何でよ」

「今やばい、ほんと無理」


こんなに狼狽えるミリオは初めてな気がして、そもそもこんなに照れるポイントが何処にあったのだろうかと首を傾げる

そして荷物持ちという名目で着いてきたにも関わらず用事思い出したと言って猛ダッシュで走っていったミリオに声が出なかった


「なんなのよ」


呆然としているうちに周りの視線も無くなりガラガラとカートを押しながら商品を見て回る

結局、今日親がいないと騒いでいた猛ダッシュで帰った男を思い出し普段より多めに食材を買い込む事になった

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