「寿〜」
「ん?」
「何か髪伸びたんじゃない?」
「そうか?」
そういえば最近行ってねーな…
専属美容師
「ねぇ!私が切ってあげよっか!」
「いや。酷いことになんの分かりきってっから、それは遠慮しとく。」
「失礼な!!…あっ、じゃあこうしよっ!」
そう言ってスズはガサガサと自分の鞄の中を漁って、1つのヘアピンを取り出した。
まさかとは思うが、それをオレに…?
「おい…それはお前が付けんだよな?」
「え?違うよ。寿がつけるの!絶対似合うから!」
「バカ!やめろっての!!」
「抵抗しないの!じっとしてなさいっ!」
こういう時の女って、ハンパなく強いと思う。
その証拠に、いつもは何においても勝ってるオレがあっけなく前髪にピンを留められちまった。
鏡を見れば、かつて不良の頭やってた奴とは思えないような姿が写ってて…
桜木達に見られたら、絶対1週間はからかわれる。
…でもまぁ、スズが喜んでんなら別にいいか。
そう思うのは、惚れた弱みってやつなのかもしれない。
fin
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