「アイズーはこちらになります」
ほお、と思わず声をあげた。店員に声をかけ、案内されたところには様々なアイズーたちがいる。色も、大きさも、個体の種類も様々だ。
「ごゆっくりご覧ください」
店員が下がる。檻の外からじっと覗き込んだ。もし飼うなら、どんな種類がいいだろう。
「各個体差は特にないようです。アイズーの餌は毎日十五分のハグ。愛情を注げば注ぐほど育つようです」
セブの説明もおざなりに聞き流しながらアイズーたちを見つめた。どの個体もふわふわの毛と尻尾を携え、パステルカラーの瞳を見せている。
「あの……アイズー……」
ふんわりとしたイメージが強いアイズーの中に一つ、目立つ黒を見つけた。もちろん黒といってもグレーに近い淡い色をしていることに変わりはないが、白に近い色を持つ個体が多い中でその個体は目立って見えた。
「気になりますか?」
「……まぁ」
「お呼びになったらいかがです?」
「言葉は通じるのか?」
「レイであれば大丈夫でしょう」
少しのためらいはあれど、興味はある。ただいざ話しかけようとした時、なんと声をかければいいのかわからなくなってしまった。
「オスクロ」
先日読んだばかりの文献に出てきた言葉だ。外国の言葉で闇、を表すらしい。そう呼んだ個体は耳をピク、と動かしてこちらを向いた。ゆっくりと歩いてくるその個体は俺が恐る恐る差し出した手にすり寄った。
声にならない喜びを得ながら手を動かし、アイズーを撫でる。特に喋らないが俺を見つめるその目が語っていた。
「レイ」
「……ああ」
通りがかった店員を呼んだ。彼、の購入手続きをすませよう。
特に飼育用のアイテムなどは必要なく、手続きもすぐに終わってオスクロ改めオスクロルは部屋へやってきた。
「レイ、あなたがいいのであれば私は何も言いませんが……」
先ほどまで賛同していたセブが少し心配そうな発言をするのには理由があった。部屋の中央でゆっくりと丸くなる狼型のアイズー、オスクロルは”喋れない”個体らしい。
いくら主人の愛情や魔力を注いでもこのアイズーは喋ることができないらしい。見た目が珍しいダークな色なせいもあってかずっと買い手がつかなかったのだという。戦闘用ではない、ということもあるだろう。
「構わないさ。話し相手なら君がいる」
「……レイがいいのなら、いいのです」
それきり喋らなくなったセブを充電器につなぐ。
「オスクロル」
呼ぶと、彼は素直に俺の後に続いた。ベッドの上に横たわり、翼で全身を包む。いつも通りの格好。ただ、いつもと違うのは腕の中にオスクロルがいるということだ。
狼型アイズーのオスクロルを飼うことになりました。