レッツゴー
森と鉄パイプ!

クオリア
定期試験01



『クオリア・エルベール様
 親愛なるクオリア。学園での生活はどうだい? 先日はアイゼンからテトイに救援要請が入ったようで、君も参加したみたいだね。君が実際にどんな動きをしたのか、僕は知らないけれどレイからは君が少し変わったという話を聞いてるよ。
 そういえば、レイのことを君には話していなかったね。もう知っていると思うけれど彼は君の義理の従兄弟だ。仲良くしなさい、きっとクオリアの魔法の習得にも力を貸してくれるだろうから。
 ところで友達はできただろうか。レイや支店の店員からは君が友人らしき人物と歩いている姿の話を聞いているけど、君がテトイで楽しんでくれていたら嬉しい。そろそろ始まるテトイの定期試験はチーム戦なんだろう? チームメイトと仲良く頑張りなさい。きっと君ならできると信じているけど。テトイにはいろんな種族が揃っている。君を受け入れてくれる人が、アイゼンに比べてたくさんいるだろう。
 君のさらなる活躍をアイゼンの地から祈っているよ。
シュヴァリエ・エルベール。

PS.アイゼンの復興だけど、僕もできる限りの寄付はさせてもらったよ。君たちが守った命を、今度は僕たちが守っていくから安心しなさい。』

 読み終えた手紙を閉じる。握りつぶしたくなる気持ちを抑え、机の引き出しに入れた。クソムカつく。むしゃくしゃしながら枕をとり、ベッドに思い切り投げつけた。
 人に恩を売るのが嫌いだった。人から恩を売られるのが嫌いだった。いつでも他人とは対等でなければ自分は生き残れないと信じきっていた。けれど、俺が今この場所にいる時点で俺とこいつは対等ではない。どんな種類の力でも、それは力だ。ただの腕力でも、魔力でも、金でも権力でも。俺はこいつにその四つのうち三つ負けている。
 何よりもクソ野郎と出会ったあの時、あいつの元に行く決断をした自分を責めたい。目の前で繰り広げられる不思議な力に従わざるをえなかった。だって俺はあの日まで、自分の魔法の存在にすら気づかなかったのだ。習わなかった。誰も教えてくれなかった。だから魔法の使い方すら知らなかった。拳一つ、鉄パイプ一つで生き抜くしかなかった。そういう、世界に生きていた。
 魔法を見た瞬間、それは魔物だけが使う力ではないのかと初めて知った。魔物が小癪な力を使って妨害してくるのは経験上わかっていたが、それを人間が使っているのを知らなかった。俺の交友関係なんてあのジジイ以外、あの場所にはなかったのだから。
 追伸を読んだ時に感じたやるせなさがぶり返す。守れた命と守れなかった命があることをこいつは知っているのだろうか。正面切って会うことがあるなら、俺は問いただしたい。
 まぁそもそも、もう顔を合わせたくもないのだが。
 同封されていた仕送りの小包を見る。こんなに俺には必要ない、と言うことさえ俺はしたくなかった。
 投げつけた枕を抱きしめてベッドにごろりと横たわる。頭からクソ野郎の存在を叩きだすように来たる戦闘試験のことを思い出した。最近は戦闘試験で組んだチームのメンバーと一緒にいる時間が増えた気がする。シュウと都子が俺とフリートヘルムに筆記の定期試験対策を練ってくれている。もちろん、戦闘試験の対策も定期的に立ててはいるが、なんせメンバーの半分は最高に頭が悪いためあまり進んでいない。
 まるで種類の違う三人で不思議なチームと言われることもある。シュウや都子は教師からよく組んだな、と言われたとかなんとか。
 ふと頭にある案が浮かんだ。明日になったらこれを提案してみよう。やっぱり俺には考えるよりも戦うだけの方が向いているのだろう。

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