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「セブ、これまでの情報をまとめて出力しておいてくれ。次の部屋が危険でなければ少し休憩する」
「かしこまりました」
ピー、と音がしてセブが出力モードに変更する。そのまましばらく歩き続けているとまたひとつ部屋のようなものが見えた。オリオラの進むスピードがさらに早くなり、もしや、と思って覗くと、そこには案の定野生のオリオラがふわふわと浮いていた。
オリオラは仲間を見つけた喜びで中央へ寄って行く。再度二倍の明るさがその空間を包んだ。セブの出力が終わるまで部屋の隅々まで見て回ったが、特にめぼしいものはなかった。
「出力、終了しました」
「ありがとう」
セブの口から出てきた紙を受け取る。そこには簡潔に箇条書きでこれまで得た情報がメモされていた。
オリオラの戯れる真下、その紙を置いて地面に座る。
「セブ、書くものを」
「はい、レイ」
口がパカッと開いてにゅっとペンが出てくる。これもまた、父からもらった万年筆だった。セブも扱いを心得ているのか、丁寧に収納してくれているらしい。
地面はコンクリート状で、特に隆起している部分はない。机にはぴったりだろう。
セブがまとめてくれた内容は次の通りだった。
○イヤリングについての記憶?
水瓶の立ち並ぶ部屋
・ある女性が駆け落ちの際につけていたもの
・祝福されていない婚姻
・だいぶ昔、水路に水が引かれていた?
部屋中に文字が並ぶ部屋
・婚姻相手の国は文明的に未発達
・ある女性がその国に文化を与えた(その名残が部屋の文字?)
推測/疑問
・駆け落ち、祝福されていない婚姻ということから別種族同士の婚姻だったと推測
・今まで何百年も知られていなかった文明を知った種族はその後どうするだろうか
○老婆のような骸骨
・部屋の入り口としてあった扉がクローゼットに変化。記憶はそこで途切れる。
・あの子 白い服が好き。仲間内で飲むとすぐシミを作った。
推測/疑問
・幻覚の可能性有り。何か幻覚を見せる魔物が潜んでいる?
○そのほか
・遺跡内にはトラップ多数
・光源となるオリオラも多数。仲間意識はあるようで、連れているオリオラは仲間に出会うと嬉しそうにする。
・現在攻撃性の強い魔物には遭遇せず。いない可能性、またはどこ兄隔離、監禁されている可能性。
ある程度読み、書き加える。オリオラの光は余すところなく照らし、影を揺らしていた。
「まだ情報は少ないですね、レイ」
「少ないうちにまとめておかないと混乱する」
セブの口が開き、そこに紙と万年筆を収納する。一つずつゆっくりと飲み込んだセブが目を二、三度瞬きさせる。
「収納完了」
「ありがとう。さて、次に行こう」
オリオラをつん、と呟くと連れていたオリオラは何度かピカピカと点滅した。それがどういうサインなのか俺には分からないが、大人しく俺の前を先導し部屋を出てくれた。