03
次の部屋を見つけるべく通路を歩いていると不審な音が迫ってきていた。
「なんだ、この音」
ゴゴゴゴ、と嫌な音を立てるそれはすぐに姿を表す。
壁の一部が崩れ、火柱が突き出した。一瞬ひるんだものの、とっさに解放詠唱を唱える。
「
オスクロルを手ですくい上げ、抱えながら翼を動かした。足で移動するよりも何倍も早いスピードが出る。ここは逃げなくては。
とにかく飛ぶ。セブもオリオラも俺のスピードについてきていた。炎は明確に俺たちの後ろを追ってきている。
「レイ、近くから魔物の反応がします」
「こんな時にか」
「……いえ、これは……」
耳をすませる。甲高い魔物の声が俺たちと並行して聞こえていた。もしかして、魔物たちも逃げているのか?
「セブ。魔物の方に案内してくれ。最悪、魔物を火柱に突っ込んで時間稼ぎする」
「かしこまりました」
セブが少し先導して飛んでいく。その後ろめがけて翼を動かした。火柱の熱がすぐそこまで迫っていた。
「こちらです!」
セブの案内についていった先には何匹もの魔物と、水路があった。とっさに水路の上まで飛んでいく。振り返ると入り口付近で火柱は止まり、こちらを伺うようなそぶりを見せた後どこかへ消えていった。
「……危なかった」
ホッと一息つき、水路から通路の方へと戻る。解放詠唱を解いて地に足をつけた。オスクロルは腕の中で俺の胸元に頬ずりしていた。まるで今の状況が何もわかっていないように。思わずその平和そうな生き物をぎゅっと抱きしめた。
「無事で何よりです。やはり、ここにはトラップがかなりあるようですね」
耳をすますと壁の向こう側やさらに遠くの方からも生徒たちと思われる悲鳴や、魔物たちの悲鳴が聞こえてきた。先ほどの突然の火柱は何かしらトラップ作動音、エフェクトがなかったことから、他の生徒が発動してしまったトラップの余波か何かだろう。これからは警戒していく必要がある。
「基本詠唱程度は唱えておこうか」
「詠唱速度の方がトラップより優っておりましたし、命を取るほどのトラップではありませんでしたから大丈夫かと」
ふと、頭の中で何かが引っかかった。なんだろう、これは……。もやもやする感情を抱えながら、一応セブに返事をした。
「そうか。……気を引き締めよう」
……なぜ、この遺跡にはトラップがかけられているのだろう。何か、隠したいことがあったのだろうか。灯りが作動しない結界魔法も含めて不思議だった。
抱えていたオスクロルを足元に戻す。しれっと隣をついてきていたオリオラがオスクロルを照らした。ゆっくりと歩き出す。