番外編 001でアローラ!
ダンデくんのバトルが見れないのではないか、これは私の1番の心配事だった。
バトルタワーには観客席は勿論無いし、中継してくれるロトムたちも居なさそうだった。泣いた。ダンデくんに、自分のロトムスマホに録画してもらって見るのはどうかと案をもらったけれど、断った。皆がダンデくんの雄姿見れなくて血涙流すのに、私だけ特別扱いというのもね……。恋人という恐れ多すぎる立場にいる私が言うのもなんだけれど。
それに、チャンピオンとして立っていた彼が今までより生き生きして見えるようだから。観客が多くいる、強くかつ魅せることも必要だったバトルとはまた違ったバトルを楽しんでいるのだろう。彼は生粋バトルジャンキーである。だから本当に誰の目も気にせずバトルをして欲しくて。ーーめちゃくちゃ見たいってのは本心なんですけどもね?
だから新チャンピオンに私は拝むしかなかった。何故か?私たちにバトルするダンデくんを拝ませてくれるからである。いつも、とはいかないけれど招待状も送るのでトーナメントにも呼ぶ新チャンピオンに私たちダンデくんファンは拝むしかない。私は何回拝めば気が済むのか?
ダンデくんに、今度のエキシビジョンマッチではオレがチャンピオンと戦うんだと言われたときは飛び上がって喜んだ。喜びすぎてダンデくんに抱きついた。すぐに離れたけど、ダンデくんに抱え直されて叫んだね。顔近づけないでください、ファンは繊細なんです!至近距離ボイス&フェイスには慣れてないの!!
待ちに待ったダンデくんVSチャンピオンのエキシビジョンマッチ当日。私はなんとスタジアムに!……ではなく、アローラ地方にいる。もう一度言うアローラ地方にいる。何で?
久しぶりのバトルするダンデくん……!とウキウキ準備していたらいきなり母さんに爺ちゃんがやべぇ!!!と飛行機に突っ込まれアローラに飛ぶ羽目になった。あんなピンピン爺ちゃんがまさか……?
とりあえず一緒に観る約束だったナナさんとダンデくんに謝罪と理由を送っておいた。ナナさんからは了解と爺ちゃんを心配する返事が来た。ダンデくんは恐らくもうバトルに集中しているであろうから、私の連絡には返事が来なかった。
本当にヤバいのだろうと心配していたら、全く何も無かった。キテルグマとタイマンはった爺ちゃんが気絶してしまい、死ぬのではと勘違いした婆ちゃんが母さんに猛電話したのだ。そして慌てた母さんは私と父さんを連れアローラへと飛んだ。
蓋を開ければ、全然問題無かった。気絶したと思われていた爺ちゃんはただキテルグマとバトった結果疲れて寝てしまっただけらしい。紛らわしい。
というか何でキテルグマと戦って無事なの?人間??
(後日、戦った相手であるキテルグマに認められたらしく抱きしめ合う爺ちゃんとキテルグマを見た。え?ネットに骨を砕かれるって書いてあるんですけど、え?飄々としている爺ちゃん……何者なの……)
怒涛の数時間であった。
爺ちゃん無事で良かったけど……!良かったけど……!ダンデくんのバトル見たかったなあ……!と悔しみの涙がぽろり。
すぐガラルにとんぼがえりしようかととも思ったのだけど、久々の娘にその婿、孫に会えたと嬉しそうに祖父母がするので少しだけアローラ滞在が急遽決まった。両親も私も自由にできる仕事についているからこそ出来た、なせてしまったアローラ滞在……。
スマホじゃ容量減るから、エキシビジョンマッチの録画は実家のテレビだし、祖父母の家はネット環境が良いとはいいがたい。つまりダンデくんが摂取しにくい状況下……。崩れ落ちたね!
使えないわけじゃないけど……前みたいにほいほい動画は見れないしSNSも引っ付けないじゃないか……。
涙ぐむ私に婆ちゃんがマンタインサーフをおすすめしてくれた。
ありがとう婆ちゃん……あたい、マンタインサーフのチャンピオンになってくるからね……!!いくわよ、ピカチュウ!クスネ!
ただのファン@……
『マンタインサーフ ひと汗、いやひと涙流してきます……』
ネット云々言ったばっかりだけどとりあえず呟いとこ!
SNSにちょっとでも呟くなら友人、彼氏に詳しく話しとけ?と過去の私に頭を抱える未来があることを知らずに。
悔し涙を誤魔化すため挑んだマンタインサーフに狂ったようにハマってしまった。
最初はなかなか出来なくて、でもどんどん加速して技を決める快感……!楽しい……!!
ダンデくんのことを忘れた訳では無いのだけど、ガラルでは体験できないことに興奮しすぎた結果であった。ずっとしてる。疲れたら休むしご飯食べるけど元気のある限りやってる。通いすぎてビーチの水着きたお兄さん、お姉さんとは知り合いの域に達した。この数日でアローラの挨拶も流れるように出来る。最初は恥ずかしかったのにな?あなたも私もはい、アロ〜ラ!見ろこの滑らかな手の動き!
マンタインサーフが出来るビーチは全部で4つ。
それぞれ記録を皆残していくらしいのだが、ビーチ全ての最高スコアを塗り替えるとご褒美が貰えるのだとか。楽しめるだけでなく、ご褒美も……!?謎の高テンションーーアローラハイと家族に呼ばれたーーの私は果敢にマンタインサーフに挑んだ。
メノクラゲに弾かれ、岩場にぶつかりサニーゴやナマコブシを驚かせ。
ホエルコ、ホエルオーにぶつかり波に飲まれ。
サメハダーに突進され。
時に狂いそうになりながらも、ピカチュウやクスネに励まされ、私は親の仇ですか?と聞きたくなるぐらいのサメハダーの突進をいなし、いつの間にかライバルのような関係になり、4つのマンタインサーフのビーチを制覇した。やったよー!私、マンタインサーフ チャンピオンになったよー!!
嬉しすぎてリザードンポーズを決めた。サーフ協会の方の拍手、ピカチュウやクスネのはしゃぐ声、サーフする中で友となった海のサメハダーたち、ホエルオーたちによって浮かび上がった綺麗な虹……!
私は……主人公だった……?
サーフ協会のナミノリさんからなみのりピカチュウを貰った。ほかの地方は違うようなのだけど、ガラルではわざレコード4を使用することでピカチュウになみのりを覚えさせることが出来る。ただ私にはわざレコードを手に入れる術が無かったから覚えさせていなかったので有難く受け取った。バトルセンスが0だから満足にバトルをさせてあげれなくてごめんねと謝るとチャア!と笑って許してくれたなみのりピカチュウ(♀)は確実に天使。ピカチュウだと呼ぶ時困るから君の名前はナミね!宜しく!!
ありがとうナミノリさん!……え?そらとぶピカチュウって何!?
このなみのりピカチュウは名の通り波に乗れる。元からの相棒のピカチュウはサーフに全く興味はなく、ビーチでクスネとナマコブシやシロデスナと遊んでいる子だったので、即一緒にサーフしにいった。
3匹が戯れる様子に悶えた。ここが……楽園……!!
写真撮ってSNSに遺さねばならないのは確実にこれ。そう判断した私は久々にスマホの電源をいれ飛び上がった。えっいっぱい連絡きてる……ナナさんとかは勿論、ダンデくん関係で知り合った人たちも、そして1番数がえぐいのはダンデくんだった。
そうですね、爺ちゃんの危篤告げたと思ったらマンタインサーフ!!(ピース)ってSNSで言った後、音信不通になったらどうしたんだコイツってなりますね。
ダンデがもしかしてオレはフラれたのかって荒れてアローラに行きそうなのを止めてるってキバナくんからのメール見て水吹いた。どうしてそうなった、そりゃマンタインサーフに浮気してましたけど、私の一番はダンデくんなんですけど!?
大急ぎで電話をかけて、謝罪と誤解を解く。
「本当にごめんね……。ダンデくんのバトル見れない悔しさをマンタインサーフにぶつけてたら、いつの間にかこんなに……」
「いや、いいんだ。君がオレのことを嫌ってないのなら……」
「私がダンデくんのこと嫌うわけありませんからね!?」
どれくらい推してると思ってるんだコノヤロー
これからも推すぞコノヤロー!
「ふふ……良かったぜ」
「そうだよ!だから全く慌ててアローラに来なくても大丈夫!まだちょっと家族で帰省する予定だけど」
「そのこと何だが、いっそアローラにオレが行って、君の家族に挨拶するのはどうだろうか!」
「はい??」
ゆくゆくは結婚する云々の話を続けるダンデくん。待て!!結婚は、まだ、早い!!!
「というか、チケットはもう取ってあるんだ!」
「???」
「明日の昼には着くな、それじゃ!」
誰か行動力の塊をどうにかし……待て、ダンデくん道に迷うんじゃない!?
ああ空港に迎えに行かなくちゃ………………。