001となってから

興奮冷めぬまま店長にダンデくんのことを聞いた。え……めちゃくちゃ方向音痴なの……?ヒトカゲや、幼なじみの女の子、その子のワンパチに引っ張られてるの……?


「……可愛すぎかよ……!!」

にぱっとした笑顔やバトルの際の顔から全く分からない萌情報に震えた。


いきなり様子が変わった私に店長とピカチュウは怯えて震えていた。すまんて。

そこから怒涛のダンデくん推し生活が始まった。
と言っても、彼はただのチャレンジャー。ジムリーダーたちと違ってメディアに進出している訳でもない一般人。だからまず私は彼のジムチャレンジを観戦するため、チケットを取る事に全てを頑張った。中継もいいが、推しは生で見たい!!……そうだよね?ただチケットを取るのはめちゃくちゃ大変だった。お金はもちろんかかるし、ジムリーダー皆の人気が高く、こぞってチケットを取ろうとするのでね……。

パソコンの前に座って、チケット販売始まったらすぐ買えるようにスタンバイ。ネットで買えなかったら当日券に賭ける。
どちらもダメだったら中継で見ようーーと思っていたが、運良く私は彼のジムチャレンジを全て!生で!!見れたのだ!!!やばくないか?多分前世の私は世界を救ったんだと思う。それぐらい徳積まないと無理でしょこれは。
ジムチャレンジ後半なんてな、ダンデくんファンも増えてきて倍率が……やばかった……。

ちなみにずっと私と観戦していた相棒のピカチュウはダンデくんの相棒リザードン(ヒトカゲのときから)の熱烈なファンである。母が作ったリザードン応援はっぴに、周りの人の邪魔にならないようエアでウクレレを奏でて応援している。
店長さんにはパートナー同士似るんだね……って言われた。ちょっと照れた。

あとはジムチャレンジと来たらアレだよね!!そうリーグカード!!!リザードンポーズありがとう〜!!!交換する機会がない私にとってリーグカード販売はありがたすぎた。全くダンデくん更新しなかったけど。
今ではプレミアムなカードを持ってるのは自慢である。見せびらかすなんてことはしないけど。
最近はキラカードにサイン入りが欲しいんだけどサイン入りは本人に……頼むしか……入手方法が無い詰んだ。本人に話かけるとか死ね!って言ってるもんだからなばーか!(泣)

そして観戦のみならず、普段の彼の姿も見てえ!となってしまったのはしょうがないことだと思わないか?残念なことに彼はSNSをしておらず、涙を呑んでいたのだが、ある日そんなわけないよな……と思いつつ何度目かのSNSでダンデ、と検索した結果。見つけたのだ。彼のアカウントを。
めちゃくちゃ興奮してしまった。自身をネットストーカーかと思いもしたが、彼に迷惑をかけるつもりは無いので……あしからず……。

恐らく同期のメンツから勧められて始めたのだろうと取れる発言があった。
思わず即フォロー決めた。ありがとうダンデくんの同期!!!いっぱいいるから誰か分かんないけど……。即フォローをきめたとき、思わずキモイとかダンデくんに思われたら死ぬと思ったので、ダンデくんフォロー欄から見たことがある数人をフォローした。私、未来ある、チャレンジャー気になってますアカウントの完成である。推しはダンデ一択ですが。

しかし後に私はこの選択に感謝した。ダンデくん全く投稿しないし、むしろSNSを開いているかも怪しいタイプの人だったのだ……!
だから彼の同期の挙げた写真やらなんやらからダンデくんを探し出していた。びっくりよダンデくんマジで挙げないの。チャンピオンになってからは公式垢が出来、チャレンジャーだったときのアカウントは消えたが、覚えているぞ私は彼のアカウントの呟いた数が3個だったことを……!衝撃すぎじゃない?なんで同期のソニアちゃんやキバナくんの呟きに出てくるダンデくんより少ないの??(なんならアイコンはずっと写真無し)おかげで私は上記2人には足を向けて寝られないのだ。

SNSといえば、何故か私のフォロワー数も増えていてびっくりしたんだよね……。あまりにびっくりして鍵かけて、後で消してしまった。ダンデくんのこと時々ぼやかして呟いてたんだけど、キモかったかなーー!?ウボワァ〜〜!!って不安になったので、新しいアカウントは最初から鍵かけて呟いている。鍵をかけたせいでなお解き放された感があるな……。やべぇな、ピカチュウとダンデくんに関する呟きしかない……。若かりし頃の私はまさかこれを世に放っていたのか!?やべぇよ、ダンデくんが見ていないことを祈る。



ダンデくんがチャンピオンになった時は泣いた。技がぶつかり合って、すなあらしを起こした訳でもないのに、もくもくと一面を砂煙が覆って。
煙が晴れたとき、立っていたのはダンデくんのリザードンのみ。

ーーダンデが勝った!

ーー新しいチャンピオンの誕生だ!

ピカチュウを抱きしめて泣いた。ピカチュウもリザードンの活躍に大泣きだった。ウクレレかき鳴らした、ギターじゃないぞそれ。

同じくリザードンを抱きしめて泣いて笑うダンデくんを見て決心した。

ダンデくん、死ぬまで推すわ!!!!



(えっっっダンデくんファンクラブが始まるんですか?入ります!!!!!!!!
えっっっ1番…………??普通これ、ダンデくんの家族とかがなるべきでは!!??
いやダンデくんの番号と一緒なのはめちゃくちゃ嬉しいけど……うん……)

ーーーー

「どう、気分は?」

「……分からない……」

居酒屋の一室。チャンピオンマッチの冷めぬ興奮が店を賑やかせていた。

話かけてきたのは私がダンデくん推し生活をするなかで友達となったネズくんファンである子。
皆が新チャンピオンについて盛り上がるなか、静かに酒を飲む私の隣に座った。

「私、ずっとダンデくんを推してきた……。チャンピオンになる前もなってからも。けど最近ずっとチャンピオンだったダンデくんを推してたから……チャンピオンじゃなくなったダンデくんに結構衝撃を受けてる……」

「でも推すんでしょ」

「そりゃあね!!??私が推してるのはダンデくんですから!!チャンピオンとか関係ないんだわ!!!!!」

「うわうるさ」

「たださ……ダンデくんがチャンピオンになってたからこそ、彼がチャレンジャーだったころより彼のこと知れて、推し最高って泣いてたけど、チャンピオンじゃなくなったらダンデくんどうするつもりなんだと思う!?別の地方とか行っちゃったらどうしよう、いやどうしたって私がダンデくんを推すのは不変の真実なんですけど。チャンピオンじゃなくなったらSNS稼働できるの……?嫌だよ〜毎秒投稿して私に萌くれ……!!!休んでもくれダンデくん……!!!」

「落ち着け、ここ公共の場だから」

するっとお酒が奪われた。クールぶりやがって……ネズくんのライブDVDオールで付き合ったの誰だと思ってんだよ〜!!

「アンタはほら、私と違って結構目立つファンなわけ。最古参ファン筆頭みたいなもんじゃん」

「ダンデくんの最古参は彼の家族だよ……!なんで私のファンクラブ番号は1なんだ…………!?」

「やべめんどくさいスイッチ押したわ」

思考の海に沈む私に彼女が呟いた一言はとどくことは無かった。

「アカウント鍵かけたりとかしててもさ、アンタめちゃくちゃファンの中で有名だからね?アンタは忘れてるかもしれないけどさあ、色々やらかしてんのよ?聞いてる?……全く。ダンデ本人にも知られてるぞって言ったら身投げするわねこいつ……」