剣も盾もかまえはしないけど

太陽の近くは眩しい


バトル観戦が好きで、若い頃もポケモンバトルでブイブイ言わせていたという祖母に連れられターフスタジアムまでやってきた私。
あんまりバトルには興味が無かったけれど、祖母の誘いを断るのも嫌で、着いて行った。

「違う日に挑戦していたキバナ選手やルリナ選手とかも凄いバトルだったわ。ななしちゃんにも見せれたらよかったのに」

「そうなんだ……?今日は誰のジムチャレンジなの?」

「ダンデ選手よ。ローズさんに推薦されたから、みんな注目しているの」

よくテレビのCMにみるローズさんに推薦されたのはすごいなあとぼんやり思いながら、試合が始まるのを待っていたっけ。

「ほら、あれがダンデ選手よ!」

とりあえず顔だけでも見ておこうと席から身をのりだす。見やすい席だったのは有難いけれど、幼く小さい背の私には少々辛い席だった。
目を凝らしてダンデ選手を見たとき、頭に鈍痛が走った。

「……?」

「どうしたの、ななしちゃん。具合悪い?」

「大丈夫!」

祖母に心配させたくなくて、じくじくと痛みを訴える頭を無視。だるくもないし、咳や鼻水が出ているわけでもない。風邪では無いならこの痛みは何なのかしら。
何気ないように振る舞いながらバトルコートを見下ろした。ターフのジムリーダーはくさポケモンの使い手でナゾノクサを、ダンデ選手はココガラを繰り出していたのが見えた。

「ひこうタイプは効果抜群だものね……。ココガラはアーマーガアになるから、後のバトルでも活かせれるポケモンなのよ」

「へえ……」

祖母が横で解説を挟んでくるのに相槌を打つ。
ナゾノクサのはっぱカッターを、ココガラの翼が起こした風によってはじき飛ばす。はじかれた葉っぱがこちらに飛んできて思わず首を縮こませる。
観戦席には、試合の審判を乗せるギルガルドによってバリアが貼られているから気にしなくてもいいのだけれども。

じくじくじく。頭の痛みはどんどん増していく。
何かで締め付けられるような、そんな痛み。

歓声が大きくなる。ココガラが素早くナゾノクサの懐に飛び込み、つつくでナゾノクサを倒したのだが、次に出てきたワタシラガによって倒されたのだ。ダンデ選手が出したのはリザード。
ジムリーダーは最後の一体だし、リザードはなかなか見ることの少ないポケモンだったから、観戦席の盛り上がり方は凄まじかった。
わたほうしで、リザードの素早さを下げながらはっぱカッターで畳み掛けるワタシラガ。
リザードは避けきれず、全ての攻撃を受け止めてしまった。しかし、ダンデ選手は諦めてなどいなかった。

「リザード、最大火力でほのおのキバだ!」

再びワタシラガの放つはっぱカッターをほのおのキバで燃やし、噛み砕く。
そしてほのおのキバがワタシラガに届き。
ばん!と炸裂音が響き、煙がおこる。煙が晴れた時に立っていたのはリザード。ワタシラガは戦闘不明だった。
勝者はダンデ選手だった。

拍手がスタジアムをつつむ。モニターに大きく映し出されたダンデ選手とリザード。

「痛った……!」

ギリギリ耐えれていた痛みがひどくなり、小声で悲鳴をあげる。ぐわんぐわん、内側から痛みが響く。頭を抱えても、痛みが薄れることはなく。

「ななしちゃん……!?頭が痛いの……ねえ……だい…………ぶ…………!?」

祖母が何を言っているか聞こえなくて、視界が霞む中見えたダンデ選手は輝いて見えて、観客の歓声が耳に遠く響いているな、なんて思って私は意識を失った。


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