摩訶不思議な散歩道-2-
「あ、あったあった。お邪魔しまーす」
町外れのアンティーク店に寄るのだ。金色のシャンデリアから照らさせる滲みるような電灯には目が慣れないのは何時ものこと。棚には昔ながらのオルゴールや異国の宝石やドレスが装飾の様に展示してある。
「やぁ、アリス」
「こんにちは、ワトマンさん」
店の奥から現れたのは黒い該当に包まれた男。頭から被る布の所為で表情は判らないものの、その声色は温かく気の抜けるような、不思議な気分にさせられてしまう。そんな独特な雰囲気を醸し出すお洒落気な味のある、このお店をアリスは気に入っていた。
「ねぇ、ねぇ!ワトマンさん、何か面白いものは入荷してないのかしら?」
「面白いものねぇ………嗚呼、そういえば変わったものが入ってたね。さぁ、…此方だよ」
誘導される儘に興味本意で背中を追い掛ける、が。その人物が急に立ち止まるものだから勢い良く顔面からぶつかり、打ち付けた鼻を思わず擦り撫でる。一言文句を言おうと顔を上げるが、それもつかの間こと。この店主に体を押された。……いや、突き飛ばされたのだ。尻餅をつく、それを覚悟して強く瞼を閉ざし待ち受ける衝撃に体を強張らせるも、それはいつまでもたってもこない。その代わりに予想外な浮遊感。恐怖から恐る恐る瞼を開けば暗い、暗い、色の失ったよな空間に頭から真っ逆さまに落ちているかのようだった。
「さぁ、拍手喝采。……残酷で可哀想なアリスの楽しい散歩の始まりだ」
無の空間に低い声だけが響き渡る。