初恋


姿を見るだけで、心の臓がきつく絞まる。其の笑顔を、私に向けて呉れたらと、何度願ったか。
奇麗な顔が緩む、其の瞬間が好き。
異国の地で見た、美しき狼。
叶わぬと知っても、風化させる術は知らず、唯見ていた。
愛しい愛しい、龍太郎。
私の、初恋の人。
人は、初恋の人に似た人を好きに為ると云う。だから、だろうか。次に恋した男も、美しい顔をして居た。
白き、海の修羅。
美しい黒髪、繊細な顔、白い軍服、眼鏡の奥の、其の瞳。
そして、大好きな船の匂いがする。
馨―――。
何て、良き響きだろうか…。




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