琥珀と浪漫スタヰル


気に入るか判らないが、琥珀に着物を誂えた。全く女性は物要りだ。着物一つ着るにも男程簡単では無い。
「此れは、何です?」
「枕に御座居ます。」
「枕?」
「ええ。御太鼓には要りますので。」
「御太鼓…」
呉服店の女将が何を云って居るのか全く理解出来無い。
「帯揚げは此方で宜しいですか?」
「え?嗚呼はい。結構です。」
「帯が赤ですので…そうですね。帯締めは黄色が宜しいかと。」
細かく云われても、私には理解出来無い。今更、母に付いて来て貰えば良かったと思う。しかし、赤に黄は、少々目が痛いのでは無かろうか。着物は青紫。
良く、理解出来無い。
「今の流行りは、原色に派手目で御座居ますよ。加納様。」
「そう云う、ものですかねえ…」
私の知るのは、淡い色合い。
「奥様は御若いので御座居ましょう。でしたら流行りに御座居ます。」
云われる侭に買い、店を後にした。




*prev|1/2|next#
T-ss