愛玩


此れ程自分は今日迄、何かに執着した亊があったであろうか。
其の髪に觸れたい。
其の目に映りたい。
其の聲に呼ばれたい。
其の身體を此の腕で抱き締めたい。
日々そんな慾に驅られる今日。私は一體今日迄、嗚呼、感情に支配される亊があったであろうか。全てを投げ出し、彼女と二人で丗界を作りたい。
何時しか彼女を愛する氣持ちは、肉慾と精液に侵され、白濁した液體は、彼女を愛する私を嗤う樣に酷い。臭氣に噎せ、熱と慾に侵された私は彼女を又思う。
何と淺ましい。此れが私であろうか。
下品な精液は一體私に何を教えるのか。何と慘めで見るに堪えない滑稽極まり無い姿であろうか。馬鹿にしている愛とやらに私は今馬鹿にされている。酷く其れが心地良く、夢の中での淫靡で可憐な彼女を思い出す。
淺ましい淺ましい淺ましい。
今の私は淺ましい。
最近やけに左腕が疲れるのは、彼女を愛した私の愚かさ。
純愛等、活字の世界。所詮紙の上での文字遊び。知った現實の愛は慾に塗れた生臭い醜。
朝等、來なければ良いのに。
彼女をずっと、愛せるのに。




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