GOD save the


「ヘンリーは大きくなったら、何になるの?」
「踊るんだっ、マミィの後ろでっ」
「そう、ミュージカルダンサー?」
「うんっ」
「じゃあ、其れが叶う迄、リンダ・ヴォイドで居続けなきゃね、マミィは。」
「約束だよっ」
「うん、約束ね。」
「絶対、絶対だよっ?」
「ヘンリーも絶対だよ?」
「うんっ」


息子の夢とあたしの夢は、同じ舞台に立つ事。
其れを叶える為に、ロンドンに送り出した。
なのに、ヘンリーは呆気無く其の夢を崩した。
ヘンリーを責める積もりは無い。けれどあたしに夢は無くなった。ライトもミュージックも、歓声も、全て要らない。
夢が欲しい。
だから、舞台から下りた。




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