bully
「殆ど水だね。味もしないし。」
云ってヘンリーは、手に付く精液を舐めた。
七回目なのだからそうだろうと云いたいが、腰から下の感覚が全く無く、喉が渇いて仕様が無い。
「水飲む?良いよ、あげるよ。」
生温い水をヘンリーの口から貰い、痛む喉に流した。
「零したら駄目じゃない。」
がき大将はくすくす笑い、口端の水を指で拭う。
「水の方が味があるな。」
何の感心かも判らずヘンリーは頷く。
手は痛く腕は痺れ、腰から下の感覚は無い。
「ヘンリー…」
「何?」
「何時迄続けるんだ?」
「キースが泣いて御免為さいって云う迄かな。」
「なら、気絶した方が早そうだ…」
皮肉が返って来るかと思いきや、ヘンリーは無言で、くすくす笑っていた。
「俺が手に入れたのは手錠だけじゃないんだよ、キース。」
ひんやりとした物が頬に触れ、俺は目眩を覚えた。
目の前で揺れる性具に、今直ぐ気絶してやりたくなった。
「良くそんな物見付けたな…」
「芋茎だよ、ミスターに教えて貰った。嗚呼、厭らしいね。大和撫子が此れをアソコに突っ込む何て。想像しただけで、ぞくぞくするよ。」
「俺は恐怖でぞくぞくして来たよ…」
「さて、ミスター・ベイリー。」
指で自身を弾かれ、痛さで顔が歪んだ。可笑しな事に、腰から下の感覚は全く無い癖に、其処だけはきちんと感覚がある。快楽と痛苦をはっきりと俺に教える。だからきちんと射精もし、苦痛で顔を歪める事も出来る。そしてそんな俺にヘンリーは笑う。
「日本の味を知って貰おうか。」
自身に垂れたオリーブオイルの冷たさに恥ずかし気も無く起立し、暖かいヘンリーの手に更に反応を示した。
「キース、若しかして、底無し?」
「煩い…」
「そうじゃないと浮気何て出来無いよねぇ…」
鼓膜には声、自身には手が絡み付き、俺はヘンリーが嗤う様に息を荒くした。
「キースが浮気出来る理由が判ったよ。成程此れじゃあ、俺一人では満足しないね。此れで何人の男と遊んだ?嗚呼、一々数えちゃ居ないか。」
「ヘ、ンリー…」
「俺が欲しい?うん、キース可愛い。」
額にキスは要らない。水みたいな薄汚れた精液も要らない。
御前の愛を、白くも汚い愛が欲しい。
愛が、愛が欲しい。
「戒しめを…、くれ…。ヘンリー…」
「ええ、如何ぞ…。日本の味を、知ると良いよ…」
すんなりと其れは俺の中に入り、植物の感触に気持悪さを覚えた。
「なあ、此れって…」
「未だかな。」
「何…が…っ」
身体が跳ね上がった。其処から信じられない感覚が身体を這い上がり、身体は勝手に仰け反った。丸で其処に虫が這っている様な感覚で、払い退ける様に足を動かしたが楽しそうに笑うヘンリーに固定される。
「処女でもよがり狂う代物何だって、此れ。」
「駄目だヘンリー、此れは…っ」
「気持良く無いの?おかしいな…、ミスターが嘘吐く筈無いのにな…」
違う、其の逆だ、と叫びたかったが其れ処では無い。気持悪いと感じた其れは、確かに俺に快楽を教えた。
暴れる所為で手錠は手首に傷を付け、なのに其の痛みさえ今の俺には快楽だった。
其れを奥迄入れたヘンリーは手首から流れる血を舐め取ると、其の侭頭を下げた。
「未だ泣かないね。だったら此れは如何?」
自身に舌が這い、神経全てが快楽に侵された。痒さも痛さも、全てが快楽だった。
「動かしたら如何なるんだろう。植物だし、やっぱ痛いのかな…」
無邪気ながき大将は俺の気持も知らず、咥えた侭其れを動かし、俺の反応等見ては居やしなかった。唯、此の日本の玩具で遊んでいた。
「何か違うな、想像してたのと。」
此のがき大将には致命的欠陥がある。
直ぐに飽きる。
何でもそうだ。ゲームでもスポーツでも、考えと違うと知ったら直ぐに放り投げる。
案の定ヘンリーは其れに飽きたらしく、何時もの様に遊ぶのを止めた。
「キースは楽しい?」
「全然…」
「そう。なら続け様。」
素直に止めれば良いのに、俺は其れを求め無かった。
ヘンリーは、其の性具自体で遊ぶのに飽きただけであり、俺を苛めるのに飽きた訳では無い。俺が楽しいと云えば間違い無く止めただろうが、今の状況は如何考えても楽しい物では無かった。
抑、楽しいセックスとは何であろうか。俺は其処から知りたい。
楽しくは無い。唯酷く気持良い。其の気持良さを楽しさと表すのなら、楽しいのだろう。
「ヘンリー…」
「嗚呼、キース。泣かないで。今の俺は、罪悪感で流す以外の涙は要らないんだ。」
「だって、如何したら良い…。信じられ無い位気持良い…」
「癖になったら困るな…。空輸は高いんだよ…。其の時はキースが費用持ってね、Royalさん。」
御前にとっては、俺さえも玩具だろう。鎖も手錠も此れも俺も、人生も。
俺は苦悩するんだ、御前との駆け引きに。
鎖が引かれ無くなった時、俺は本当の玩具になる。がき大将の暇潰しの一つに過ぎ無かったと、俺は泣く。
唯此のがき大将は酷く頭が良い。
飽きない玩具を傍に置く事は、神に唾を吐き付ける位難しいと云う事を知っている。
だから御前はこう云うんだ。
「愛してるよ、キース。」
其の言葉で鎖を完全にする。
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