愛故に U


マシューみたく寝顔を晒す二人にクラークは息を吐いた。二人が夫婦であるのは、マシューを養子に迎えて居る事を見れば判る。然しこうも露骨に、裸で抱き合い倖せそうに寝息を立てられるのを見るのは良い気はしない。キースの父親、ベイリー公爵の元に居る時も、主人の其の光景は目にし慣れては居るが、矢張り気分は悪い。
恋人もおらず、結婚もせず、唯只管主人に使えて来たクラーク。気付けば四十半ば。在の愛らしいキース様は見事に父親になり、こうして愛しいハロルドを腕に抱いて居る。其れは昔、猫のディアナを抱いて居る様に。
時計に目を遣り、
「後五分です」
そう囁き、愛の海に溺れる二人に息を吐く。
「一体、どの様な夢を見てらっしゃる事やら。」
ハロルドのブロンドが掛かるキースの頬に、クラークは手を這わせ、何度も撫でた。
ふっと笑うキース。
其の昔の面影を残す笑顔に愛の制裁、シーツをひっくり返した。




*prev|8/8|next#
T-ss