薬に匹敵する玩具
何時に無く楽しそうな笑みを浮かべるキースにハロルドは、此奴は真正サディストだと思い乍ら、チェストに置かれた侭のシャギィの煙草を咥えた。
「あれ、ヘンリーって、煙草吸うんだ。パイプ吸ってるのは知ってたけど。」
シャギィを見た侭真っ白な煙をエメラルドに重ねる姿に、パイプと同じ吸い方かと、シャギィは頷いた。視線をハロルドに流して居たシャギィは行き成り身体が下に下がり、慌ててハロルドに云った。
「キース、本当にサド何だ、だから…」
細長いエメラルドを見て居たシャギィは、何時の間にか上から自分を見るアクアマリンを視界に入れて居た。
「本性知っても嫌いに為らないであげてって、云おうと思ったんだ。」
「忠告痛み入る。だがな、集中しろ。」
内股を叩かれたシャギィは肩竦め笑い、楽しそうに眺め笑うキース、そんな二人を紫煙越しにハロルドは無表情に眺めた。
「ヘンリーに抱かれてる俺も、詰まりは本性だ。」
「キースの全てを愛してるから、嫌いには為らない。」
最も、とハロルドは煙草を消し、ベッドに乗り上げた。
「キースがサドなのは、今に始まった事じゃない。」
シャギィの額にキスし、其の侭顎を少し上げ唇を重ねた。蒸しただけの煙草の味は強烈に苦く、唇を離したシャギィは、舌が痺れる其の余韻に痺れた。
「御免ね?抱いてあげられなくて。」
「其れが一番の快楽だよ…」
ハロルドには決して抱いて貰えない、此れは快楽を伴う必然。
知ったシャギィは、ハロルドに与えられた快楽に喘ぎ、足先をキースに向け、胸から腹部に滑らせた。
「御好きに如何ぞ、何為りと、マスター。」
「良い心構えだな。」
持ったタイを左右に強く引き、乾いた音と共にキースは笑みを向けた。
「タイが良いか?ベルトが良いか?其れとも首輪が御好みか?」
「As liking it, master...」
タイ先の擽ったい感覚にシャギィは目を瞑り、首を退け反らせた。出来た隙間にタイを滑らせ、交差させると其の侭左右に引いた。タイを掴んだ両手をベッドに沈め、上体の重さを加える様にキスをした。眺めて居たハロルドは笑い、両方共真正だと呆れ、ベッドから下り様とした。然し、気配を感じ取ったシャギィにシャツを掴まれた。
「俺、痛いのも好き何だけど、窒息するのも好き何だ。」
シャギィの意図が判らず、キースに向いた。
「シャギィはこう云う風に。」
ベッドに沈める腕に力を込め、其の力に反応するシャギィは少し笑った。
「二人でする場合、俺が首を絞めるだろう。俺は入れないと為らないから。」
「でも三人なら…?」
「成程、判った。」
御得意のディープストロークをする。そんな状態で普段して居るのなら、えづく事を知らないのも当然だとハロルドは思った。
「俺、本当にSM趣味は無いんだよ。」
「でも、三人でするのは好きでしょう…?」
「全くシャギィ様々だね。」
云って優しくシャギィの髪を撫で、優しく微笑むとキースに手を伸ばした。ベッドに乗るキースの手を離し、一度絡ませると又離した。唇を吸い合う音を響かせ、首筋や顔を掴むハロルドの手に誘われる様にキースは浮かして居た手をハロルドの下腹部に伸ばした。
「ハニー…」
「ん…?」
「愛してるのは誰…?」
「御前だけ…」
唇から離れたキースの唇は首筋に流れ、鎖骨に滲んだ汗の味を舐め尽くした。支えられた背中を退け反らせ、キースの愛撫に喘ぐハロルドのブロンドの揺れをシャギィは眺めて居た。月光に反射する波の様に揺れ、其れにシャギィは昔の自分を思い出した。
「もう、良い…。シャギィ…」
爪先で腹部をなぞられ、立てて居たシャギィの足は揺れた。
「準備は良いかい…?」
揺れる目は澄んだエメラルドの海。
何故自分やキースがハロルドに此処迄惹かれるのか、漸く判ったシャギィは頷いた。
「何時でも如何ぞ、マイ ロード…」
此の思いが消える事は、海が地球から無く為る事程不可能な事だと知った。其れ所か増える一方で、溢れる思いは陸が消える様に誰かの思いを消す。
「興奮し切って頭破裂しそう。」
「此処じゃなくて?」
唇に感じたハロルドの熱にシャギィは溶けた。
掴み、熱い舌が絡み付く自身の先をハロルドは眺め、唾液に混ざる液を見た。窪ませた舌に液を乗せ、其れをキースに見せた。
「何だ其れ。」
ローションを垂らそうとして居たキースの手を遮り、溜めた液体を自分の其処に埋めた。
「足りないかな…?」
自分で触り乍ら暫く考え、未だ要るかい?と聞いたハロルドにシャギィは又舌を伸ばした。
「違う液は出る?」
「其れはシャギィ次第かな。」
顔を撫でられ、笑うシャギィの舌に又液体が溜まり、何なのか知ったキースはハロルドを見た。
「そんなに出るなら、俺の時にもローション要らないんじゃ無いのか?」
「馬鹿だなキース、俺が痛いじゃないか。」
舌に液を乗せた侭シャギィは器用に笑い、充分解れた其処に違う笑みを浮かべた。
「此れで少しはヘンリーとしてる気分に為るかも。」
「云ってろ。」
「シャギィ、病気に為るよ?」
自身の液でもシャギィの其処を解すキースの姿にハロルドは笑い、二人が病気に為らないのが不思議で堪らなかった。
シャギィの片方の足を自分の足でベッドに固定し、もう片方の外股を叩いた。其れが合図の様にシャギィは顎を動かし、身体を捻った状態でハロルドの物を深く咥えた。揺らいだ片足を肩に掛け、浮いたシャギィの腰をキースは下から支えた。一気に深く突き刺さり、其れに一度シャギィは噎せた。
「シャギィ、身体柔らかいね。痛く無いのかい?」
足は動く度裂かれる様に上下に引かれ、胴から上はハロルドの方を向き、両腕をベッドに付けた侭物を咥える。御得意な技をしっかりする所、相当に調教を受けて居るのは嫌でも判った。
「相当痛いだろうな。」
「嗚呼、やっぱり痛いのかい。」
「俺なら痛い。」
痛さと苦しさに顔を顰めるシャギィだが、薄く開い目は艶に濡れ、熱り立つ其れは揺れる度液を撒き散らした。
目の前で揺れる髪から、覗くキースの表情にハロルドの其れは知れず興奮した。自分の知る艶とは違うキースの艶、時折馬鹿にした様に鼻で笑って居た。額に滲む汗は宝石の様にハロルドは見え、余り上体が動いて居ないのを良い事に舐めた。不意を突かれたキースは肩を揺らし、ハロルドを見た。
「ハニー?」
「ん?」
「キスして。」
重なったキースの唇にハロルドは又反応し、鼻に抜けるハロルドの匂いにシャギィは息を漏らした。其れに気付いたハロルドは「離そうか?」と聞いたが、涙を滲ます目を瞑り、小さく首を振った。喘ぎ声に紛れ何か話して居る様にも聞こえたが、其れは不可能に近いので気の所為であろうとシャギィから顔をキースに戻した。
「ハニー、とっても奇麗…」
「不思議何だ、俺を抱いてる時のヘンリーと顔が違う所為か、本当にヘンリーを抱いてる気分がする…」
其の言葉にハロルドは吐息を漏らし、身体を震わせた。
「ハニー…、頭おかしく為りそう…」
口に出した所為かハロルドの頭の中には靄が掛かり始め、キースの動きに合わせ、面白い様にハロルドは声を漏らした。
「…っ、キース…っキ…」
「ヘン、リ…、ヘンリー…」
「駄目だ…、イキそう…」
「一緒にイクか…?」
「ハニー…俺の目見て…、キスして。其の侭イカせて……」
ベッドに付いて居た手を離し、唇を押し付ける様にハロルドの頭を押さえた。深く重ね、軽く交わる舌先にハロルドは身振い起こし、シャギィの身体に爪を立てた。口内で反響したハロルドの声にキースは支えて居た臀部に力を入れ、腰を押し込めた。大量の刺激を受けたシャギィはハロルドの精液を飲み込めず、大きく噎せるとシーツにしがみ付いた。開いた口からハロルドの其れを垂らし、艶に濡れた目を揺らした。犬みたく舌を垂らし息を繰り返すシャギィに気付いたハロルドは、額を重ね見詰め合って居たキースから顔を離した。がたがたと痙攣するシャギィの足を見たキースは自身を抜き、次いで流れ出て来た精液に片眉上げた。
「ヘンリーじゃなかった。」
投げ捨てる様に肩からシャギィの足を離し、鼻で笑うと痙攣する腰を叩いた。
「生きてるか?」
「生きてるよ…」
終われば用済みかと、粗悪な扱いをするキースとは反し、ヘンリーは同じ様に寝そべり何度もシャギィの顔中にキスをした。
「シャギィ、大丈夫?」
虚ろな目に掛かる髪を指や爪で撫で払い、自分の精液が垂れて居る事等構い無しにシャギィの口端や唇にキスを繰り返した。
「御免ね、無理させたよね。」
「ヘンリー、別に良いよ…」
「歩けるかい?」
「暫くしたら動ける…」
「俺が運んであげる。」
暫くした後じゃ駄目と、ハロルドはもう一度口にキスするとシーツごとシャギィを抱えた。
「何処行くの…?部屋…?」
「御風呂だよ、気持悪いだろう?」
身長も体重もかなりの差がある筈だが、容易く自分を抱き上げた事にシャギィは驚きを見せた。
「ヘンリー、力あるんだ…」
何時もは運ばれる立場のハロルド。初めてハロルドを見た日も、ハロルドは側近に抱えられて居た。因み此れは酔っ払い、汚い言葉を喚き散らし暴れ出した為なのだが、初めて見たローザの権力は壮大であった。
其れの何処にシャギィが惚れたのか、人の趣味は多種多様である。
「あるさ、此れでも陸軍元帥だよ、キースも持ち上げられるさ。」
心外だと云わんばかりにハロルドは苦笑い、シーツに気を付け足を進めた。
「格好良くて奇麗で優しいって、もう最高…。大好きヘンリー。」
首に抱き付き、弱々しく首を振るシャギィにハロルドは笑った。
「大好きだって、キース。君から聞いた事の無い言葉だよ。」
からかう様なハロルドの視線等気にも止めず、糊の効いたシーツを袋から出した。
「俺は愛してる。大好きと一緒にするな。」
ふて腐れ、新しいシーツをベッドに掛けるキースにハロルドは鼻で笑った。
シーツの皺を伸ばし乍ら、廊下から聞こえる二人の声に時計を見た。相当な時間だろうと思って居たが未だ午前三時で、普段の起床時刻迄には二時間あった。休みで良かったと此の侭寝るか、其れともシャギィの不眠症に付き合うか、灰皿の横にあるグラスに酒を注いだ。チェストの真ん中の引き出しを開け、煙草の代わりにマリファナに火を点けた。
「ヘロイン、コカイン、ダイナマイト…」
ゆっくりと身体に沈む酩酊感にキースは視線を不自然に泳がせ、煙と一緒に酒を飲んだ。
「ヘンリーとマリファナと酒があれば、充分じゃないか…」
疲労と酩酊感にキースの頭は揺れ、自分の意思とは無関係にベッドに倒れた。固いシーツに不快感を覚え、二三度ベッドを叩いた。
「嗚呼、愛してるって言葉も必要だ…」
世界(玩具)を叩き壊す、そんな風に。
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