間違いのない恋愛模様
「よう、キース。My ladyの寝室には行かなくて良いのか?」
在の日貰った反感は、俺が元帥に為った日から棘と化した。俺よりエリートな彼は、俺と同時に元帥に為ったのが気に食わなくて仕様が無かった。
思えば俺は、幼少時代から虐められる側だった。幼少時代みたく肉体的暴力は流石に無いが、人間は成長するに連れ、言葉と云う、拳よりも強大な暴力を手にする。
耐久があったと云えばそうで、彼の皮肉に表面上では動じ無かった。然し、内面では肉体的暴力並のダメージを受けて居た。
「嗚呼、行かない。今夜は恋人を此の腕に抱くんだ。My ladyじゃない。」
「恋人ねえ。結婚出来無いのもMy ladyの所為か?」
「My ladyは関係無い。俺が結婚しないだけだ。」
「如何だかね。」
彼は馬鹿にした笑いを一つ、強く肩を掴むと歪んだ俺の顔に口元歪ませ、其の侭視線を足音に流した。
「ヘンリーじゃん。」
「如何したの?パーティー終わっちゃうよ?」
何こそこそしてるの、とヘンリーは相変わらずの笑顔で近付き、俺は判って居た。
匂いと視線で。
同じだから判る。
誰が誰を見て居るか。
「主役二人が居ないのって、立場悪く無いかい?」
「良いの良いの、My ladyの御目当てはキースだけだから。俺が居なくても気付かれないよ。」
「何云ってんの、英吉利一の色男さん。其処の威圧感の塊は居なくても結構だけど、君は居ないと駄目。」
「何で。」
「俺が詰まらない。」
ヘンリーの口車に彼は笑い、気分良くしたのか勝手に会場に向かった。足音が消え、会場のドアーが締まった時、ヘンリーは舌打ちした。
「金髪碧眼に興味は無いよ、生憎ね。」
「ヘンリー…」
「何…?」
頬を撫でる其の手が、俺を見上げる其の目が、名前を呼ぶ其の声が、堪らなく愛おしい。
「愛してる…」
「如何したの?酔ってるの?困ったな…」
君を連れて帰るのは一苦労するんだ、とヘンリーは笑う。
此の薔薇の笑顔は、俺だけの物。
大事な俺の、薔薇の花。
此れは茨の道だと判って居る。除隊覚悟で俺は薔薇のキスをした。此れには少し棘があり、美しい薔薇を、プロテアの花が眺めて居た等、全く知らなかったんだ。
〔
*prev|3/4|
next#〕
T-ss