田舎事情


「奇麗にセックスするんには、如何したらええのかなぁ。」
妻の指先に付く雫を舐め乍ら私は聞きました。
湯舟に浮かぶブリキの金魚を沈め遊ぶ妻は視線を私に向けました。
「風呂でしたら、ええんちゃうの。」
「する?」
「やぁよ。上がる。」
後ろを向いた妻の項に唇を寄せ、うんうん考えました。
人一倍助平な事を考える癖に実行に移さないのは何故なのか。
妻がとんでもない淫乱で無いのが救い、妻の手と一緒に金魚を沈めました。
「最後にしたの何時やっけ。」
「んー…」
妻も忘れる程昔。
「先月の月物ん時、の、前か、後…」
「今月は?」
「未だ。」
「子供も出来んわな。」
「え?欲しの?」
「要らん。ちゃうくて、兄さんが“未だ出来へんのか”てゆわはるから。」
「そうなぁ、三年やからなぁ。普通はおるんやろなぁ。」
「なぁ。」
ぴちゃん。
天井から雫が落ちました。
三年、と云えば聞こえは良いでしょうが、十九歳の私達に、世間は子供等求めて居るのでしょうか。其れで無くとも舅は妻にべったりなのに。
「八雲ぉ?」
「んー?」
「倖せやなぁ。」
「んー?なんやねん。」
「此れで、ええやんな?」
「な。ずっとこうしてよな。」
「うん。」
男女の性を確立する時期に、周りの大人達に依って性の混乱を強いられた私達は、此れで良いのだと、互いを納得させるのです。
「あ、蛙。」




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