神の悪戯 悪魔の宴


胸部に厚みはあるが、其れは決して柔らかい物では無い。筋肉で作り上げられた其れは脂肪の塊みたく柔らかくは無い。
なのに何でだろう。
すっごく柔らかいんだ。
最初気付いたのは、タイを外そうとした時。ふわんと、腕に当たった。一体此れが何か判らず、其の時はまあ、無視した。
次の違和感は、鼻歌をした時。普段は出ない高音域がすんなり鼻から抜けた。俺はウィーン少年合唱団の聖歌隊出身では無いので、勿論出る筈は無い。変声前みたく、すんなりと出たんだ。
「おっもしろぉいっ」
調子に乗って高音を出したら、側近が腰を抜かした。俺だって驚いた。
「変なの。」
そう漏らした声も嫌に高かった。俺はキースみたくバリトンじゃないから普段も高い。中途半端にヘリウムガスを吸った声、と形容したら良いだろうか。益々ヘリウムガスヴォイス、変なの。
此の後俺は、死ぬ程震え上がった。




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