子供の行為、大人の遊び
そんな時恵に触れたくない、と龍太郎は遺骨を受け取ろうとはしなかった。だったらと、宗一が貰い受けた。好きにしてくれと云われ、龍太郎が東京に戻った其の日、宗一は大きな鞄を持ち出した。
独逸だ、独逸に行く。
こんな中行くのは無防だ、止めてくれと侑徒は頼んだが聞き入れはしなかった。
「知らへんの。独逸は今、戦争してるんや。」
「だから止めてるんでしょう。」
「せやから行くんやっ」
行き成り張り上がった宗一の声に侑徒は縮み、恐怖で動かない侑徒を宗一はソファに押し、背凭れに両手を置いた。
「今行かへんとな、時一が死んだらどないするんやっ。時恵の死も知らんと、戦死さして堪るか。」
何も付いて来いとは云っていないと宗一はソファから離れ、放心している侑徒を見た。
忘れている訳では無い。ハンスに云った在の言葉を。
――次、独逸に来た時は…
思い出し、時恵の遺骨に目をやった。
自分の骨は、何処に埋め様。
そう考え、時恵を抱き締めた。
「独逸は…良い処だぞ…」
聞こえた独逸語。
「ハンスにも会えるぞ。在の怖い兄さん。覚えてるか?そう、時一の式に来た奴。」
宗一が何と云っているか侑徒には理解出来ないが、笑う顔には溢れる愛。素直に、羨ましいと感じた。
「俺も疲れた。そろそろ、兄ちゃん卒業しても、良いか?」
時一に、自分は必要無い。自分を必要とする人間は、もう居ない。だったらもう、全てを楽にしたかった。
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