melancolie


聞かされた知らせに、時一は笑った。もう二ヶ月経ったのかと、カレンダーを見たが経ってはいなかった。
「姉上…心から、御待ちしています…」
自分の愛する、そして生きる独逸を時恵に見て貰いたかった時一は、嬉しいのか悲しいのか判らない感情で空を見た。
青空に浮かぶ赤。此の、独逸の国旗で埋め付くされた此の街を、果たして姉は気に入ってくれるだろうか。
殺戮と戦争で血生臭い軍事国家の、そう、姉が嫌った十七年前の日本と全く同じ、此の街を。




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