Heil-万歳


赤い世界に、白い花が咲いた。
其れは、天使に見えると云う。
本の一瞬、咲いた花。
甘い幻想と、至高なる耽美を、周りに教えた、誰も本当の名前等知らない、白い花。


「さて、行こうか。アルツト ゲーテ。」
代わりなら、幾らでも居る。散ったのなら、又新しく育てれば良い。
先生が種から植え、育てた様に。
「今日から此処での全指揮を取る隊長のルートヴィヒ・メンゲレだよ。彼は右腕の。」
「ユート・ゲーテです。」
「私と彼の指示には絶対に従って貰う。」
此の花は、“彼”の様に美しく咲くであろうか、将又、彼の様に食虫植物の如く醜く育つであろうか。

「アルツト メンゲレに…」
「アルツト ゲーテ…?」
「唯の噂だと思ったが…」
「天使が来たぞ…」

何方でも良い。私には関係の無い事だ。
私がする事は一つ。此の花には水では無く、アリアが必要だ。然すれば此の花は、美しき食虫植物になろう。




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