アロマな一日


「何で御前、そう今日は機嫌が良いんだ。」

「…御知りになりたいですか?」

「別に、知りたくは無いが、御前が機嫌が良いと俺の機嫌が悪くなる。」

「おやまあ。随分な方ですねぇ、全く全く。」

「嗚呼。死んでしまおうか。加納には腹が立つ、中国は俺の物にならない、珈琲は不味い、本郷達は俺の云う事聞かない、読もうと思った本の栞は無い。天気が良いのが救いだな。死ぬのは止そう。」

「残念。」

「何か云ったか。」

「いいえ、何も申しておりませんよ。」

「で、御前、何をしに来たんだ。何処迄読んだっけ…」

「何、とは。其れは勿論、自慢に。」

「は?何を。英吉利人とヤったって云う自慢?其れなら井上で聞き飽きたよ。帰れ。」

「…其の様に露骨に表現するのは御止め為さい。品が御座居ませんよ。其の手の中の夏目先生も泣いておいでですよ。」

「あ?此れ夏目漱石か。道理でおかしいと思った。俺、芥川龍之介読んでたんだよ。」

「あの、木島さん…表紙、見えておいでですよね…?」

「積み上げられた本の上にあったら、読んでたやつと思うだろう。普通。」

「普通は表紙を確認しますよ。」

「俺、目が悪いんだよ。」

「でしたら眼鏡を御掛けになったら宜しいでしょう、全く全く。では無くてね。」

「何だよ、煩いな。早く帰れよ。」

「羨ましいでしょう、時恵様に頭を撫でて貰ったのですよ。ふふん。」

「……大佐。大佐!バリカン持って早く来い大佐!」

「え?」

「良いか、其処を動くな。今貴様の頭を、毛根諸共抜いてやるから。大佐!」

『余り物騒な事は云うもんじゃないぞ、木島。はい、バリカン。』

「黙れ。時恵に頭を撫でて貰っただと?妄想も大概にしておけよ、女狐。精神病院に打ち込………、え?」

「おや、まあ。(何方でしょう)」

「え?」

『血の気溢れて良いな、木島。押えておこうか。』

「何…何で…何で…何で(前)元帥が此処に居るんだぁあ!」

『今気付いたのか?朝から居たぞ。』

「元帥!?元帥は木島さんでしょう!?」

「違う!」

「ええ!?違うのですか!?では、貴方何ですか!一般人ですか?」

「違う!俺は元帥だ!元帥は俺だ!(前)元帥!何故居る!」

『え?だって今日、大佐休みでしょう?暇だから来た。トリップで入れた珈琲は如何ですか?木島元帥。』

「あ…あ…か、こ、か、加納…俺…俺…」

「はい、如何されました?」

「珈琲飲んじゃったぁああ…!手を突っ込んだら珈琲出るかな!?いや、駄目だ。さっきトイレ行った…全身に、毒が…(前)元帥の毒が…俺は死ぬ…」

「先程、死のうかな、と申していたでしょう。構わないでしょう。」

「天気が良いから止め様と思ったんだ…」

『人聞き悪いなぁ。毒なんか入れてないよ。凄く不味い珈琲は淹れたけどね。あ、栞無かったでしょう。抜いたの俺。トイレ行ってる時。後、本の順番変えたのも俺。』

「何て事するんだ!こら!(前)元帥!(前)元帥!解毒剤をくれ!解毒剤!」

『嫌だ。御前が死んだら、又俺が元帥として返り咲けるんだ。其の趣味の悪い剥製諸共潔く死ね。』

「玉砕っ。ふふ。」

「して堪るかぁああ!兄さぁあああん!」


嗚呼、今日が曇りであれば良かったのに。
本日もワタクシの一日は、とても馨しいものとなりました。




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