サンタの贈り物


初めてマミィの声を、動く姿を見たのは琥珀が日本に来た年のクリスマスだった。顔は日本に来る前に写真を見せて貰ったから知って居た。此れが御前の母親だよ、会えないけどな、って。其の時意味は全く判ら無かったけれど、日本に来てマミィが今居る場所を見て、少し寂しく思った。琥珀はずっと、写真じゃないマミィに会えると思って居たから。でも、やっぱり、写真から感じた優しさはきちんと掌で感じた。
琥珀は御願いをした、サンタさんに。
マミィに会えます様に、って。
今直ぐじゃ無くて良い。ずっと先で良い。何時かマミィに会える事をサンタさんに御願いした。
英吉利に居た頃、琥珀はずっと御願いして居た。優しいあたしを愛してくれる本当のマミィを下さいって。何年かは貰え無かったけど、きちんとくれた。
だって日本に居たから、サンタさん、探し回ってたんだと思う。だから琥珀はサンタさんに悪い事しちゃったかなと思った。

「コハク、ワルーイ子……」
「何で?」
「サンタサン、ターヘン…」
「琥珀、悪い子なのか?」
「I don't know...」

サンタさんだけじゃ無くて、ダディ迄困らせた。琥珀は悪い子何だ、きっと今年も今迄みたくプレゼント何かを貰え無い。
そう考えたら本当にそうだと思えて、悲しくなった。

「コハク、サンタサンLikeダヨ。」
「サンタさんも、琥珀が大好きだと思うぜ?」
「サンタサン…」

ダディが、犬は飼えないからと代わりに買ってくれた犬の縫い包み、アレキサンドリアを両腕に抱いて、御星様に頭を下げた。アレキサンドリアと一緒に、オネガイシマース、と何回も頭を下げた。我乍ら少し幼稚かなと思ったけど、此れ以外、サンタさんに届ける術を知らない。
必死な琥珀の頭をダディが優しく撫でてくれた。

「琥珀、サンタさんに、何を御願いしたんだ?」
「マミィ。」
「…うん。」

会いたいよ。
会って沢山御話ししたいよ。
マミィは琥珀を抱き締めてくれるかな。




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