類似点


「愛を語る上で、大切な物は何だと思う?」
其の問いに宗一は椅子に凭れ息を吐いた。
「難しいなあ。」
井上は偶に哲学的な事を口走る。親友は余りそう云う難しい事に頭を働かせられない為、宗一に話した。
「数字に表せれへんから、やっぱり愛と違う?」
「なら愛と恋の違いは?」
「そらぁ、何ぼでも云い回し、感じ方、あるわ。」
「先生の見解は?」
「恋は感じる物、愛は囁く物。」
「おお、そう来たか。」
「では井上君。君は如何かね?」
互いに楽しい目を向け、哲学に耽る。
「恋は原石、愛は宝石。」
「ほお!ええなあ、其れ!メモメモ。」
椅子を揺らし、二人は楽しむ。
「恋は旅行先、愛は自宅。」
「ん?何で?」
「旅行先は楽しいだろう。うきうきするだろう。でもやっぱり住み慣れた家が一番落ち着く。」
「上手いなぁ。ほんならこないは?恋は誘惑、愛は幻惑。」
「深いなあ。」
「恋は綺麗、愛は汚い。」
「深い深い。もっと美しく行こうぜ。」
宗一は紫煙を上げ、呟いた。
「恋は、形に出けるけど、愛は出来ひんなあ。」
「だから愛を語る事は不可能何だ。」
形無い物を表す事は出来ない。二人は其れを知っている。
「恋は蕾、愛は実。」
井上は呟いた。
「林檎の木やな。」
「嗚呼。」



神に背いた僕達は、良く似ている。




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