歪んだ晩餐会


博識の美少年、とは良く云ったもの。彼を見、呼ばれた教師は息を飲んだ。
女の様に、いや其れ以上の美麗さを持つ彼は、西洋の彫刻品を彷彿させた。
「旦那様より一ヶ月、貴方を見る様命ぜられました。不肖乍らお付き合い下さいませ。」
「はあ。」
其の気怠さを漂わせる彫刻品は、女を一瞥し、顔を逸らした。美少年は、女の様な声色をしていた。繊細で神経質そうな澄んだ声に、女は目を瞑った。
「別にワタクシは、貴女等要らないのですがね。父上は何を考えていらっしゃるのか。全く全く。」
十三歳とは到底思えぬ台詞。美麗で繊細な周りより秀でた彼は、矢張り人を見下していた。
「其の様な事を仰らず、仲良く致しましょうよ。」
女の作った笑顔は彼には御見通しで、余計に壁を厚くさせた。




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