シロとハイイロ


本郷が元帥の椅子に座り、和臣に対する忠誠心を無くし掛けた時、思いも依らない形で其の忠誠心は復活した。
矢張り、アルファは、和臣しか居ないのだ。
ずっと、ずっと其の帰還を待っていた。其の思いが通じたのか、和臣は帰って来た。薄く笑みを蓄え、嬉しい事に又自分に命を吹き込んでくれた。

「貴様を信じた俺が馬鹿だった。」

そうだ、此の椅子に座るのは仏様ではない。
修羅のみが許される、椅子。
和臣だけが、許されるのだ。そうして自分の主人は、和臣唯一人。


御前が居なければ、和臣は元帥の座を渡す事は無かった。
御前が、御前が………

――――――御前が俺の主人を殺したんだ。


命を取り戻した狼は吠えた。
「俺の中に来て貰うよ、仏様。」
矢張りそうだ。此の椅子には、和臣が相応しい。仏様は、孤独と戦う必要は無い。

「ただ今。」

其の言葉を、どれ程待ち望んだか。
そうして、昔と同じ様に、ずっと傍に居る。




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