愛の授業
西班牙の太陽って、本当に熱い。じりじりと肌を刺激して、何時迄も熱は引かない。貴方の身体と何方が熱いのか、私は考える。渇いた砂混じる空気、貴方の匂いに似てる。温い水で身体は冷えない、貴方の手は全く其れ。
一体どれ程の時間、私は貴方の熱に焼かれてる?
一体どれ程の時間、貴方の微温湯に浸かってる?
そろそろ刺激が欲しいわ、そう骨迄焼き尽くす程の刺激がね。
「顔、見せて。」
「嫌、何で。」
「琥珀って何時も横向いてるから。」
「何で見たいの?」
「イく顔が見たいから。」
「良い物じゃ…」
視界一杯に広がる宝石。其れは私を捉えて、決して離さない。
「動いて良い?」
「駄目…」
刺激は何処から?最初は下から。其の刺激は足の裏を攣らせ様と強く為って、足を抜け、其処に来る。
「ゆっくりの方が、気持良いでしょ?」
「何で判るの?」
「だって、凄い濡れてるもん。」
集中した熱を身体全てに放散する様に、貴方は其処を指で弾く。すると如何?熱は細胞を刺激して、其の熱を骨に染み込ます。瞬く間に私の身体は熱に溶け、目が渇いた。脳味噌はぐらぐら茹だって、揺れる宝石を見せる。
「若しかして、イった?」
「知らない…」
「んふふ。」
良く判ってる、自分の身体だから。
「可愛いよね。」
「嫌い。マシュー何か嫌い。」
私達って、此の時だけは、出会った頃と同じ時間に居る。母親とか父親とか夫婦とか、そんな関係が無く為って、好き合う同士の交わり。
「嫌いなの?」
「うん。」
ベッドの中では決して愛してるって云わない。だって其れは私に向けられて居る訳では無いから。此の時間が、熱が、刺激が好きなだけ。
二人で作り上げた時間だから、何方か一方だけが云うのは、違う気がして為らない。
「俺、何時も思うんだ。」
貴方って、少し変態。熱を作り上げる其処を広げる。良く見える様にかは知らないけど。
「なぁんで首って、伸び無いんだろうって。」
「伸びたいの…?」
「うん。」
「変な人…」
「だってさ。」
親指の触れた其処はかなりの灼熱で、冷ます術は何処にも無い。もう此れ以上熱く為らないんじゃ無いかって程身体は熱に支配されて、貴方から落ちた汗は私の胸で蒸発した。
「此処、舐めたく為るんだよね。」
「さっき散々舐めたでしょう?」
「此の時の此れって、凄く美味しそう何だよね。熟れた桜ん坊みたいで。違うだよ、全然。」
貴方ってコメディアンか何か。伸びる訳無いのに、必死に伸ばそうとしてる。
「んー、諦めるか。」
「来世で、轆轤首に為る事ね。」
「嗚呼、其れ。是非為りたいね。」
貴方の来世は、轆轤首と垢舐めで決まり。
刺激を受ける程、ほら、貴方は喉を動かす。堪らないって顔で、口を動かす。
「糞…、首伸びろ…」
「諦めなよ。」
「人類が一番進化して欲しい事、其れはセックスの時に首が伸びる事。何故伸びない…」
首が伸びる筈無い。でもね、人間には、腕がある。抱き締めるだけじゃあ、無いのよ。
私は其処に指を這わせて、貴方が欲しがる熱を掬った。貴方とは又違う白さ、目の前に遣ると、猫みたく其れを追った。口を開き乍ら、必死に指先を咥え様とする。
「意地悪…っ」
「変な味。此れが好きなの?」
舌奥に絡み付く味は刺激的で、でも何処か衰退的で、堕落させる味。思うの、此の味を知る男ってのは、堕落的行為が好きだと。どんな独裁者でも、威張り臭った傲慢野郎でも、或は奇麗な男でも、此の味に支配されてる。
好きで好きで、堪らないのよね?
「自分でした方が早いかも、人類が進化するよりね。」
私が掬って仕舞った消えた熱を生産する様に、貴方は情熱を宿す。激しく、でもゆっくりと。
「マシュー…」
そうして私は貴方にキスをする。腕は抱き締める時にも居る、足は座れる。人間って、抱き合った侭、座れるのよ。あら失礼、猿も出来るわね。
「一寸、此れじゃ…」
「大丈夫、私があげる。」
爪の間にこびり付いた其れさえも、貴方は舐め尽くした。
「噛まないでよ。」
「足りない、もっと頂戴。」
「もっと私を愛して。深く、愛して。」
そしたら其れは、何時迄もあるでしょう。
「愛を、沢山頂戴…」
私には足りないの、未だ未だ。
何故そんなに必要かって?
愛を知りたい。愛を、証明したい。見えない其れを証明するって、不可能。幽霊を万人が見れる様に実体にしろって云ってる様な物。
ならば逸そ、書類にでも纏めてみる?レポートを五十枚、書いてみる?そうすれば、入口少しは見えるかもね。
愛って不思議な学問、決して学校じゃ教えて呉れ無い。どんな学者でも、解明出来無い。数字に表す事も、科学的に証明する事も、文学的に連ねる事も出来無い。天文学的にもね。論文に出す事だって出来無い。
だから人は魅力される、身体に刺激を与えて、愛を見様とする。
でも其の刺激から見た愛は、医学的、生物学的よね。
刺激が要るのは心だわ。
愛って本当、難しいレッスン。其れと同時に、誰にでも判る単純な事。
キス一つでね。
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