純粋且ツ猥ラナ慾


今日に限って姉さんは着物を着ていた。躾紐で目を塞いで、帯紐で手を縛ってあげた。
執拗に責めて、足の感覚が無いと姉さんは掠れた声で云う。舌に、喉に、姉さんの味が染み入む。一本だけ先がふやける指。何れ位こうして姉さんの味だけで水分を取っているのだろう。
子供の声が聞こえる茜色は、何も聞こえない紺色に変わっていた。時計の秒針と、俺の舌が動く音と、姉さんの声。其れしか、此の紺色は伝えない。
脱がせないで手を縛った。唾液か姉さんの液か、其れが布に染みる。此の広がり方。きっと着物に迄達している。大島も、こうなれば唯の敷物だ。
突起を噛んだら、未だ感覚はあるらしく、其の下にある空洞から液を垂れさせ蠢いた。姉さんの味が張り付く喉は、やっと声を出した。俺は元から話す方では無く、やっと聞こえた俺の声に、姉さんは足の指をきつく結んだ。
「姉さん…此処…」
つっと指先を線に沿って滑らせた。一層蠢き、指を飲まれそうだ。
「拓…也…指で、良いから…」
指で良いから何なのだろう。喉の奥で深く笑うと、喉に染み込んでいる姉さんの匂いが管を通り鼻を抜ける。中から外から、俺は姉さんを感じた。
突起から舌を遠避け、蠢く其処に爪を入れた。指先だけで其処を触り、円を描いた。指が動く度空洞は開き、指を追う。
焦ったく動く足。動く腰。
「姉さんって、結構好き者だよね…」
身体は強請りを見せ、今更隠そうと膝を寄せた。俺は其れを許さず、指先を抜くと足を開かせた。左手で姉さんの右足を床に付け持ち上げ、左足は立たせ、膝に腕を置き、姉さんの其処を眺めた。
完全に開き、姉さんは羞恥でか足を震わす。赤くなる肌に、口角が上がる。
「拓也…ねえ…本当…恥ずかしい…」
そうだろう。唯の色男なら未だしも、実の弟に、こんな姿を曝す等。
「色男なら平気?」
「………何を…そんな人…居る訳無っ…」
赤く膨れ上がる突起を爪で弾いた。床に付く足は跳ねたが、俺の押さえ付ける手の所為で振動が伝わるだけだった。
「俺に色事を教えた癖に。」
一体誰から好色を教えて貰ったのか。俺の最初は姉さんで、けれど姉さんは違う。俺が子供で、龍太と遊んで居た頃、姉さんは充分に女だった。俺達が子供の遊びに耽る後ろで、姉さんは男と遊びに耽っていた。
門の前に居た、誰かの一人と。
誰か。一番最初に俺に気付いた男。絵師らしく、他の男達より痩せており、そう、妙に俺と背格好が似ている。男の描く絵は、色事。其れもこんな、SM。だから、独身なのだ。
縛られ、涙を流し、半分開いた口。全く、其の絵と同じだ。
「若しかして…在の絵のモデルは姉さん…?」
「何の絵…?」
作品名を云うと動揺の色。在の色彩と艶溢れる絵とは真逆の色。
楽しいね。
其の日俺は、姉さんだけに快楽を与え、俺は其の姿に笑うだけだった。慾孕む薄汚れた精液を吐き出す事等、俺には無意味でしか無い。
こんな汚い感情を持った其れ等、姉さんに知らす訳にはいかない。
姉さんには綺麗な、純愛文学紛いの精液しか与えてはいけないのだ。
最後に達した姉さんは、どんな絵より色に溢れていた。




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