我が弟
其れがつい此の間だと思って居たのに…
あたしはアルバムを見、年月の早さを痛感した。在の友人の云う通り、拓也は良い男に育った。睫毛の長い切れ長の目、すっと上を向いた鼻、其の下に厚い唇。細い首から動く喉仏に、あたしは同じ様な厚い唇を突き出した。
龍太郎ちゃんも男前に育った。吊り上がる目からは鋭い獣の強さを知り、通る鼻筋に薄い唇は細い顎に支えられている。
同じ男前でも、違う。
「何見てんの?」
聞こえた低い声に、在の愛らしい高さは無い。
「写真を理由無く眺め始めたら、年行った証拠ですよ、姉さん。」
龍太郎ちゃんは、少し低い。唯、怒った時の声は低いから怖い。地を揺るがす声だ。
「何でも、無いわよ。」
そう、何でも無い。
唯、思い出に耽りたかったのよ。
T-ss