我が弟


夜、寝る前必ず拓也と遊ぶ。あたしは布団に寝転び、横で拓也が好き勝手にあたしを相手する。
あたしが遊んでやってるのでは無く、拓也が遊んでくれている気分になるから不思議だ。誰が如何見ても、あたしが拓也の相手をしているのに。
在れ此れ半分眠り掛けの中遊ぶ。だから偶に拓也の言葉に反応出来ない。そうすると怒る。其れが面白くて仕様が無い。
あたしはからからと笑い、泣きそうな拓也をもっと泣かせ様と試みる。しかし、泣く依り前に反撃される。髪を引っ張られたり、腹に乗られたり、顔を叩かれたり。あたしが泣き真似をして初めて拓也は泣く。
可愛い。可愛過ぎる拓也。
あたしの、宝物。
そんな拓也が、何時しか男に代わった。記憶の可愛い拓也は何処にも無くて、無表情であたしを見、寡黙になった。あたしが悪いのかと悩んだが、龍太郎ちゃんは無言で首を振った。
「違うんです、違うんです姉さん…」
消えそうな其の声に、あたしは拓也に対する接し方を終に知る事は無かった。知った時は、神への背きだった。




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