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人は生まれながらに平等じゃない。
これは齢4歳にして誰もが知る社会の現実。

事の始まりは中国 軽慶市。“発光する赤児”が生まれたというニュースだった。以降 各地で「超常」は発見され、原因も判然としないまま時は流れる。
いつしか「超常」は「日常」に−−。「架空ゆめ」は「現実」に−−。

そして、世界総人口の約8割が何らかの“特異体質”である超人社会となった現在。人類が“超常”もとい“個性”といわれるその力を手にしたことによって犯罪件数は爆発的に増加、国は法律の抜本的改革に追われた。そんな混乱渦巻くこの世の中で、かつて誰もが空想し憧れた1つの職業が脚光を浴びていた。

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少女の育った世界は小さかった。
真っ白な部屋の一室。それが彼女の世界のすべてだった。

その部屋の中で少女はさまざまな知識を学んでいた。言語、社会の仕組み、身を守る術――外の世界を知らない彼女は同世代の子供たち以上に外の世界の知識を蓄積していたといってよいだろう。

そんな彼女の転機。それはきっとあの日だろう。
開け放たれた扉の向こう。彼女の目の前に突然現れた大きく太陽のような男はこう言った。

「もう大丈夫――私が来た!!」

彼の腕の中で見た空の色。「知識」としての空ではなく、彼女自身が感じたその色はどんな色だったのだろうか。

――これは少女の物語。