いとしい人のそばで
「それにしても……
いつもは健康管理を大事にしているあなたが風邪をひくなんて…不思議なこともあるのね。」
「……すまない。」
ベッドに力なく横になる銀髪の彼、イザークを見て、
アイリアは苦笑していた。
いかにも申し訳ないと言った表情の彼を見て。
「しょうがないわ。ここの所、仕事づまりだったんだもの。
少しは休んでって言っても、イザークなかなか休んでくれないし……」
「……本当にすまない。
皆に迷惑をかけてしまうな……」
顔を歪めて、苦しそうな表情で言うイザークを見、
それまで苦笑していたアイリアはふっと、柔らかく微笑んだ。
「いいのよ、たまには。皆、あなたのためなら喜んでやってくれる。
私たちの憧れで、尊敬できて、そして何よりも大事な……隊長だもの。」
スッと自分の目を見て話すアイリアに、最初は苦痛の表情を浮かべていたイザークだが、
安心したのか、その言葉を聞いて表情が柔らかいものとなっていた。
「そうか……すまないな。」
「そうじゃなくて。
こういう時は”ありがとう”、っていうものよ?」
アイリアが人差し指を立て、微笑む。
「………そうだな、ありがとう。」
「よろしい…なんてね。」
そう言ってクスクスと笑う。
本当に彼女には敵わないと、自身では思いながら。
「さ、もう休んで。体力を回復するには寝るのが一番。
ここ最近、あんまり寝てなったでしょう?」
「ああ、ゆっくり寝かせてもらうさ。
今日だけはな。」
「じゃあ、私は額に当てるタオルを変えてこようかしら。」
そう言ってスッと、立ち上がろうとしたその時、
急にイザークに腕を掴まれた。
「……?どうしたの?」
「今日は……」
「?」
「今日は、ずっとそばについていてほしい。
オレが今日かける、もう一つの迷惑として。」
「……それは隊長命令かしら?」
「どうとってもらってもかまわん。とにかく、今日はそばにいてくれ。
……ずっとな。」
「クスクス、うそよ。
そうね…今日はそばにいさせてもらおうかしら。」
アイリアが再び座るとともに、イザークはそれを見て、
安心したように目を閉じた。
いとしい人のそばで。
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