フェイタン

2024/03/21

※死ネタ



胸を貫かれ、真っ赤な血が滴り落ちる。違う、私が望んだのはこれじゃない。
私は彼に懸命に手を伸ばした。しかし、いつの間にか手首から先は無くなっていて。彼が手刀で斬り落としたのだと理解したのは、彼の刃が抜かれて崩れ落ちた時だった。

「ふふ、ふふふ…そう、これで…いい、のよ…」
「気持ち悪い女ね」

頭を砕かれて、私の意識は完全に途切れる。

そう、殺されたっていいの。あなたに触れてもらえるのならば。

hxh

法正

2024/03/16

音を操る特殊能力者のいる世界。
※主人公「銀黎」固定



ある女性の目の前に黒い人形の化け物ーー“ノイズ”が立ち塞がる。ノイズは口を大きく開けると、大きな声で叫んだ。まるで生き物の声とは思えない、世界が割れるような声は人々を狂わせ、あるものは暴れ出し、あるものは倒れ、悲惨な状況を生んだ。
ノイズが倒れた女性に近づき、口を大きく開けて今まさに食らおうとした時だった。

「そこまでだ」

ノイズの背後に恐ろしい雰囲気を纏った男が立つ。
男はノイズの背中に手を突っ込むと、何かを回すように左に手首を捻った。

「ミュート」

忽ちノイズの鼓動が小さくなり、膝から崩れ落ちる。一瞬でノイズを死に追いやったのは、音を操る特殊能力者ーー“ムジカ”の一員だ。

「法正、まだいる!一旦離れて!」
「銀黎、頼む」
「任せて!」

法正と呼ばれた男が素早く後ろに下がると、先ほどいたところに大きな爪を持ったノイズが三体飛んでくる。
間一髪のところで攻撃を避けた法正と入れ替わるように前に出たのは、銀黎と呼ばれた少女だ。

「デクレッシェンド!」

銀黎が腕を水平に薙ぎ払うと、水色の光の輪が広がる。銀黎のデバフ技だ。
光の輪を浴びたノイズたちが大きな爪を振りかぶり銀黎を攻撃する。しかし、爪は銀黎に刺さるどころか、銀黎にぶつかると大きな音を立てて折れてしまった。

「今のあなたたちの爪は柔らかい紙のようなものよ」

銀黎の背後から法正が飛び出し、ノイズを蹴り飛ばす。
銀黎が法正の肩に手を置くと、静かに「クレッシェンド」を唱え、バフ効果を付与した。銀黎の能力で法正に力が漲る。

「お願い、法正!」
「終わりだ」

法正がノイズの胸に手を突っ込む。

「俺の能力はこういう使い方もある」

法正が思い切り手首を右に回す。刹那、ノイズが爆発した。
四散するノイズの破片を払いながら、残りの二体も同じように爆破していく。
静かになった街に、銀黎と法正だけが立っていた。

「法正のアンプ、便利だけどこれはやりすぎじゃない?」
「たまにはいいだろう?派手なのも」
「はいはい」

法正の一歩後ろを銀黎が遅れて着いていく。この街の平和を今日もムジカの面々が守っている。
法正と銀黎は、今日も明日も明後日も、人々のために戦場に身を投じる。ノイズが完全に消滅するその時まで。
続きを読む>>

三国無双

ホワイトデー(フェイタン)

2024/03/14

先月、バレンタインに思い切ってフェイタンにチョコをあげた。……といっても、義理チョコをっていう名目で団員全員に配ったのだけれど。
でも実はフェイタンのだけちょっとだけ違ってたりする。一つだけ、真っ赤なハートのチョコを入れたんだ。気づいて欲しいような気づかないでいて欲しいような、複雑な気持ちだった。
今日はホワイトデー。いろんな団員からお返しを持った。マカロンにクッキー、ぬいぐるみ、お酒など、人によって様々だ。
フェイタンもくれるのかな?なんて、ちょっと期待してみたり。いやでも、あのフェイタンがくれるかな?と、思うと気持ちが途端に沈んでしまう。そもそも、今日はフェイタンをアジトで見かけていない。
やっぱり期待するだけ無駄か…そう思い、自分の部屋に戻った時だった。

「はあ〜」
「遅かたな」
「うわぁ!?」

なんと部屋にフェイタンがいたのだ。しかも絶を駆使して。

「びっくりした…なんでフェイタンここにいるの?」
「お前を待てたよ」

するとフェイタンは私の前まで来ると、ポケットから小さな包みを取り出した。

「えっ?」
「これ、やるね。ホワイトデーだからな」

まさかフェイタンからバレンタインのお返しをもらえるとは思ってなくて、思わずはしゃいでしまいたくなったが、そこはぐっと我慢した。

「ありがとうフェイタン!開けていい?」
「いいよ」

ワクワクしながら開けると、綺麗な花を模したピアスが出てきた。すごく可愛い。すごく可愛い、のだけれど…。

「あの、フェイタンありがとう…すごく嬉しい。ただ、ごめんなさい。私、ピアス開けてないの」
「知てるよ。だから今から開けるね」
「そうなの、だから……ええ!?」

いつの間にかフェイタンの手にはピアッサーが握られており、反対の手は私の腕を掴んで離さない。

「いやいやいや!待って待って待って!私痛いの無理!!刺青だって麻酔して入れたのに!!」
「大丈夫ね、ガンタイプのピアサー買たから、一瞬で終わるよ」
「嘘だーーー!!」

暴れる私を押さえつけて、フェイタンがピアッサーを耳に当てる。私はもう逃げられないと悟り、泣きながら耐える心構えをした。
そして次の瞬間。

バチンッ!!

「い゛ッ!!」
「ほら、次反対ね」
「痛い〜!!やだやだ!!もうやめて!!あ゛あッ!!」

見事に両耳開けられ、私は痛みに悶えていた。ふと見ると、フェイタンがひっそりと笑っているのに気がついた。

「……サディスト」
「はは、拷問より楽しかたよ」

でもまあ、これでフェイタンからのピアスも付けれるし、いいのかなぁ…とじんじんする耳の痛みに気を取られながら考える。
それにピアスを開けたのがフェイタンだなんて、なんかこう……燃えるというか。フェイタンにマーキングしてもらったみたいで、なんだか嬉しくもある。

「それ付けるの楽しみにしてるよ」

フェイタンが先程のサディスティックな笑みではなく、ふんわりと優しく笑う。そんな笑みを向けられると、勘違いしそうになるじゃない。

「私も、楽しみ」

このピアスが似合う頃には、フェイタンにもう少し近づけてたらいいな。

hxh

ホワイトデー(法正)

2024/03/14

法正に連れてこられたのは見るからに敷居の高そうなジュエリーショップだった。
綺麗な店員さんに案内されショーケース前まで行くと、宝石たちが照明の光を受けてキラキラと輝いているのが見えた。目も眩むような美しさに圧倒されていると、法正が私の肩を叩く。

「さあ、好きなものを選べ。どれでも買ってやる」
「えっ……ええ!?」

私は法正の発言に驚いて思わず大きな声を出してしまい、慌てて口を覆う(声を出してしまった後なので意味はないのだが)。

「そんな、いくらなんでも…」
「なんだ?俺の年収を知らないのか?このくらい余裕で買える。だから安心しろ」
「いやいや、そういう問題ではなくてね…」

しばらく押し問答になっていたが、あまり続けていては店の迷惑だと思い、申し訳ないと思いつつも私が折れる。
さて、どれにしよう…とはいえ、あまり高いのは選べない。
値札ばかり見ていると、ふと、視界の端にきらりと光る紅が見えた。そこには紅い宝石を乗せた美しいリングが鎮座していた。

(わっ、綺麗…)

しかし値札を見てぎょっとした。桁が一つ違っていたのだ。
駄目だ駄目だ、無理に決まっている。他のにしよう。そして探すこと数分、手頃(でもないが)な価格帯のピアスを見つけて、法正の手を引いた。

「法正、私ーー」
「これだな?」
「えっ?」

法正が私の言葉を遮って指さしたのは、先程の紅い宝石のリング。

「い、いや、それじゃなくてね!」
「嘘だな。お前はさっきからプライスしか見ていなかった。だがこれだけは物を熱心に見ていたじゃないか」
「うっ……そうかもだけど、でもね!」
「これを貰おう」
「かしこまりました」
「ええー!?」

今度は口を覆う余裕もなく驚いてしまった。店員さんがバックヤードへ引っ込むと、法正は得意気に笑う。

「お前のことならなんでもお見通しだ」
「だからって法正、あれすごく高いのよ!?」
「どこがだ?」
「……本気?」

どうやら法正にとっては本当に問題のない価格だったようで。私はなんておそろしいクラスの人と付き合っているんだろうと思った。



法正の車の中で、何度もリングを眺める。右手に嵌められたそれは、なんだか普通のものよりも重みがあるような気がした。

「本当に綺麗…でも、私には似合わないんじゃないかな?」
「そんなことはない。似合っているぞ」
「……そう?」

驚きはしたし、申し訳なくも思ったけれど、結局は欲しかった物を贈られて、私も嬉しい。
一番は法正がちゃんと私のことを見てくれたことが今日は嬉しかった。

「法正」
「ん?」
「好きだよ」
「……俺もだ」

いつまでも一緒にいたい。そう思える人がいるのは、やっぱり幸せなことなんだろうな。

三国無双

フェイタンとゲーム

2024/03/13

※主人公「リノーゼ」固定



「くそっ、やるじゃねーかフェイ!」
「ハハ、このくらい簡単ね」
「なにしてるのー?」
「おっ、リノーゼ!新作の格ゲーやってんだけどよぉ」
「今のところワタシの圧勝ね」
「へぇ〜」
「お前もやるか?」
「いや、私はそういうのよくわからないから…」
「せかくだし、一回やるといいね。ワタシ相手するよ」
「え〜…?んー、まあ一回なら」
「よし!ほら、コントローラー」
「えーと?操作だけ教えてよ」
「ワタシ教えるよ」
(リノーゼのこと好きだよなぁフェイのやつ…)



「やったー!勝ったー!!」
「マジかよ…!!」
「な、何かの間違いね…!」
「もう一回やろう!」
「次は負けないよ!」



「やったー!!全勝〜!!」
「くっ…!!」
「フェイが完封されるなんて…」
「これ面白いね!」
「納得いかないよ!本当に初めてやたか!?」
「そうだよ?」
(悔しすぎるね…!!)
「思わぬ才能だな、リノーゼ」

hxh

フェイタンと本を読む

2024/03/03

※主人公「リノーゼ」固定



ある昼下がり、リノーゼが部屋で本を読んでいると、トントン、と控えめなノックが聞こえてきた。誰か、と問わずとも念能力者ならばオーラで誰だかわかってしまう。
リノーゼはドア前に立つフェイタンを快く迎えた。

「いらっしゃい、フェイタン」
「入ていいか?」
「勿論」

リノーゼがドアを広く開け、端に避けるとフェイタンが部屋へ踏み入る。ドアをそっと閉めると、リノーゼは温かいコーヒーを淹れた。

「はい、どうぞ」
「ん」
「で、今日はどうしたの?」
「特に用はないね。一緒に本でも読もうかと思ただけよ」

フェイタンは時々こうしてリノーゼと行動を共にしたがる。それをリノーゼも嬉しく思っており、フェイタンの言葉にリノーゼの表情がぱあっと明るくなる。

「ちょうど良かった!今私も小説を読んでいたところなの」
「なら決まりね」

二人はソファに座り寄り添うと、それぞれ持ち寄った本を読み始める。肩に感じるフェイタンの体温が心地よく、リノーゼは思わずにやけてしまいそうになる口元を引き締めて耐えた。
ぱらり、ぱらり、と紙を捲る音だけが部屋に響く。どれだけそうしていただろうか、外ががやがやと騒がしい。
どうやら、外に行っていたメンバーが一斉に帰ってきたようだ。

「そろそろみんなと合流する?」

リノーゼが提案するがフェイタンは緩く首を振る。

「リノーゼ、絶使うよ」
「え?」
「もう少し一緒にいるね」

言うや否や、フェイタンは絶でオーラを断つ。リノーゼも慌ててそれに倣った。

「これで共犯ね」

フェイタンは目を三日月形に歪めて笑う。まるで二人で隠れんぼでもしているようだと思った。
悪いことをしているわけでもないのに、なんだかドキドキする。それはみんなから隠れているから?それとも、別の理由?リノーゼにはわからなかった。

hxh

法正

2024/03/01

※主人公「銀黎」固定。

くたくたの身体を引きずって、銀黎はなんとか部屋へと辿り着く。今日はもう休みたい。そんな思いで部屋の戸を開けると、寝台に既に誰かが寝ていた。

「ええ!?」
「ん……なんですか、騒がしい」
「いやいやいや、あなたねぇ!!」

なんと銀黎の寝台を乗っ取っていたのは軍師の法正である。突然の展開に銀黎もついていけず、大声を上げる他なかった。

「何してるんですか!ここ、私の部屋ですよ!?」
「いいじゃないですか、寝台を貸すくらい…」
「ふざけないで!ほら、出ていってください!」
「そんなに言うなら、一緒に寝ればいいでしょう?」
「ぎゃっ!?」

銀黎の腕を強く引き、被子の中へと引き込む。法正の身体は思いの外温かくて、心地が良かった。

「さあ、もう寝ましょう。俺も疲れてるんですよ…」
「……いやいや!おかしいです!騙されませんよ!!」
「…………」
「本当に寝たの!?」

仕方なく法正の腕を退けて自分が出ていこうとするが、凄まじい力で抱きしめられており、抜け出せない。

「ちょっと、起きてますよね!?」
「…………」
「……もうっ!!」

銀黎は諦めて、法正と添い寝することにした。変なことをしてきたら迷いなく殴ってやろうと心に決意して。

三国無双

フェイタン

2024/03/01

「大丈夫か?」
「無理かも〜…」

ベッドにぶっ倒れる私の側で、フェイタンが平坦な声音で心配してくる。きっと顔も無表情なのだろう。一見すると心配してなさそうなのだけれど、フェイタンはいつもこうなので気にしない。

「依頼、そんなに大変だたか?」
「うん…なんていうか、殺すのは簡単だったんだけど、ハニトラ成功させるのに時間がかかって…」
「は?」
「しつこく触ってくるし、もう最悪。疲れた。気持ち悪い…」

は?を最後に、フェイタンの声が聞こえない。怪訝に思って首を回せば、眉間に皺を寄せて私を見下ろしているフェイタンがいた。え、こわ。

「フェイタン?」
「聞いてないね」
「何が?」
「ダーゲト男、聞いてないね。お前がハニトラするのも聞いてないね」
「あれ、クロロ言ってないの?」
「聞いてないね」

するとフェイタンは黒い服をばさりと荒々しく脱ぎ捨てると、私に覆い被さる。逞しい胸板が背に触れ、どきりとした。

「消毒、必要ね」
「え?え?」
「拒否権、ないよ」

フェイタンに服を脱がされると、唇を奪われる。そして私は嫉妬に燃えたフェイタンに、身体の隅から隅まで消毒されてしまった。

hxh

法銀の日常

2024/02/26

※フォロワーさんのお礼に書いたものです。主人公「銀黎」固定。



早朝。銀黎は自分の身体に絡んでいる法正の腕を優しく引き剥がすと、側にある衣服を纏い始める。湯を沸かし、白湯を一杯飲むと、法正の分を淹れる。そして最後に法正の身体を優しく揺すって起こすと、彼が目覚める前に部屋を出ていった。



山を登った先にあるここは銀黎専用の秘密の隠れ家である。家の裏には広い訓練所もあり、銀黎の兵たちも使っている。
備えられている武器も多種多様。銀黎は今日は圈にしよう、と武器を手に取ると、まるで踊っているかのように地を蹴り舞った。
どれだけ舞踏を繰り広げただろうか。いつの間にか日が高くなっていた。

「ふう、そろそろかしら」

銀黎は武器を仕舞うと、山を降りる準備をする。
ここは安全な山なので、ぼうっと小鳥を眺めたり、野花を摘んでいても問題ない。何故ならば、山賊たちはこの銀黎がすべて倒してしまっているからだ。それに今となっては銀黎とその夫である法正を恐れてこの山へ近づくものはいない。気をつけるべきはせいぜい猛獣くらいだろう。

城へ戻ると、とある部屋を訪れる。法正がいるであろう執務室だ。

「孝直様、私よ」
「銀黎か。入れ」

戸を開けると、そこには背を向けて卓に向かう法正がいた。

「もう昼よ。昼餉にしましょう?」
「あと少しで終わる」
「しょうがないわねぇ…」

銀黎は法正の背中に身体を預けると、すやすやと寝息を立て始める。銀黎の重みが心地よい。

(全く、無防備なものだ。俺だから良いものの)

法正はもう少しこの時間を味わっていたくて、わざと筆を遅く進めた。



「ちょっと、遅いじゃないの!」
「悪かった」
「もう……」

結局昼も遅い時間に昼餉を取ることになり、銀黎は立腹だ。しかし法正も素直に謝るので、それ以上は怒れない。
女官たちが作ってくれた料理を食べ、散歩に出かける。
悪党を自称するほど性格と素行の悪い法正だが、銀黎も銀黎とて悪女とまではいかずとも、なかなかのものである。そんな二人が仲良く歩いていれば、皆々凄まじい勢いで道を開けていくというもの。恐ろしくて遠巻きにすら見ることもできない。しかし二人は慣れたもので、道が空いて便利、くらいにしか思っていない。
四阿に立ち寄り池を眺めていると、法正に向かって矢が飛んでくる。それを銀黎は素手で掴み取り、へし折ってみせた。懐から飛刀を取り出すと、素早くそれを刺客に向かって投げる。あまりの遠投にうまく飛刀が刺さったのかも法正にはわからない。

「よく気がついたな、銀黎」
「殺気がずっと付き纏ってたんですもの。あーあ、飛刀を一つ無駄にしちゃったわ」
「また買ってやる」
「ふふ、ありがとう」

銀黎は欄干から手を離すと、伸びを一つする。

「さて、仕事ができたわ。楽しいところをごめんなさいね、あなたを殺そうとした元を探さないと」
「すまない、助かる」
「また今夜」

口付けを一つ交わすと、二人は離れていく。お互いの仕事へと向かうために。



夜。昼の刺客の元をきっちりと始末し、仕事を終えると銀黎は法正の執務室を訪ねる。きっとまだ仕事をしていると思ったのだ。

「あら?」

しかし、そこに法正はおらず。まさかもう帰ったのかと部屋へ向かえば、窓から明かりが漏れ出している。
戸を軽く叩いて開けると、法正はもう酒を煽っていた。

「今日は早かったのね」
「ああ。お前は遅かったな」
「ちゃんと昼の件を片付けてきたのよ」
「そうか、すまなかった。それで、相手はどんな奴だった?」
「あなたへ逆恨みしてる人だったわ」
「ふっ、それは面白い」

法正は銀黎にも酒を注ぐと、杯を渡す。銀黎は一杯、また一杯と煽ると、法正へとしなだれ掛かった。

「私、今日も頑張ったのよ?ご褒美はないのかしら?」
「それを言うなら俺だってそうだ。お前からの褒美が欲しいところだ」

二人は見つめ合い、くすくすと笑うとそのまま床へ倒れ込んだ。
側の灯りだけが二人の愛を照らし暴いていた。
続きを読む>>

三国無双

恋愛戦略(法白)

2024/02/26

※フォロワーさんのお礼に書いたものです。主人公「白瑛」固定。



白瑛は朝摘みたての薬草をすり潰しながら、ふと考えていた。この薬の調合作業を最近あまりしていない、と。
そもそも近頃はめっきり怪我人や死者が減った気がする。無論、それは喜ばしいことなのだが、薬にも鮮度がある。悪くなってしまっては勿体無い。
どうせ廃棄するくらいなら、兵たちに配って回ろう。白瑛はそう考えると、手早く調薬を完了させた。

棚を整理し、使用期限が近いものをまとめると、籠の中にまとめて入れる。そして練武場へ向かうと、指揮をとっていた趙雲の元へと向かった。

「趙雲殿」
「おお!これは白瑛殿」

趙雲は朗らかな笑みを浮かべると、白瑛を迎えた。

「あの、これをみなさんに差し上げたいのです」
「これは…?」
「使用期限の近い薬です。ですので、早めに使っていただけかないといけませんが、何かのお役に立てば、と…」
「おお!これは助かる!しかし、いいのですか?」
「構いません。戦場以外でも薬が必要なことはあるでしょうし、その時に私が居られるとも限りませんから。どうぞ、お役立てください」
「では、遠慮なく…」

流石に練武場に集まった人数分の薬は無かったため、趙雲に薬を預けることにする。一つ一つ薬の効能を説明していると、ぽん、と肩に重みが乗った。

「白瑛殿」
「!?、法正殿…びっくりました」
「おや?趙雲殿もいらっしゃいましたか」
「気になる言い方だな」
「あ、あの…」

なんとなくこの二人があまり仲良くないのはわかってはいたが、間に挟まれる白瑛は堪らない。

「何をなさっていたのですか?」
「余った薬を趙雲殿に差し上げようかと」
「……へぇ」

なんとなくだが、法正の機嫌が悪くなったように感じる。

「法正殿もいりますか?」
「いえ、俺はいりません」
「白瑛殿、こちらは?」
「それは胃薬です。痛みを和らげ、胃を活性化してくれます」
「なるほど…」

一つ一つ説明している間も何故か法正は離れず、じっと見張るように二人の側にいた。
一通り説明が終わると、籠ごと趙雲に薬を預ける。

「では、私はこれで」
「助かった。ありがとう、白瑛殿」
「いえ」
「では、行きましょうか。白瑛殿」
「?、あの、どこへ?」
「部屋へ戻られるのでしょう?」
「はい、そうですが…」
「俺も用事があるので着いて行きますよ」
「はあ…」

そういうと法正はさっさとその場を立ち去ろうとする。慌てて白瑛が趙雲に挨拶をすると、白瑛は小走りで法正の背中を追いかけた。

「……あれは相当だな…」

二人を見送りながら、趙雲は一人溢した。



他愛もない会話を繰り広げながら、白瑛と法正は部屋へと戻る。部屋に入ると薬草の香りが鼻腔をくすぐった。ここだけ、他の部屋とは異なる澄んだ香りがする。最初は苦手だった香りだが、法正は今ではこの部屋が一番好きだった。

「それで、用とは?」
「ああ、あれ。嘘です」
「……やはり」

白瑛は「はあ…」とため息を吐く。こうして用事もないのに用があると言って部屋を訪れるのは、なにもこれが初めてではないのだ。

「そんなことではないかと思っていましたよ」
「おや、この悪党をよくわかっておいでで」
「流石にこうも毎日顔を合わせていればですね」

そう、法正がやってくるのはほぼ毎日なのだ。決して暇ではないと聞く法正だが、何故か白瑛の元へは欠かさずやってくる。まったく、とんでもない人に気に入られたものだと白瑛は思っていた。
しかし、よく法正の顔を見るといつもより顔色が良くないことに気がつく。なんとなくだが血色が悪い。もしかして…と思い、白瑛は法正に質問する。

「法正殿、今から聞くことに嘘をつかずにお答えください」
「それは質問次第ですが…まあ、どうぞ」
「昨日ちゃんと寝ましたか?」
「いえ?」
「やっぱり…どうして寝ていないのですか?」
「策を練るのに忙しいんですよ。特に最近は」
「でしたらこんなところへ遊びにきている場合ではないでしょ」
「とんでもない。疲れているからこそ、あなたに会いにきたんですよ」
「はあ…まったく…」

白瑛は棚から薬を一つ取り出すと、法正の手に乗せる。法正はじっとそれを見つめていた。

「眠気を誘い、よく寝付くことができる薬です。それを飲んでーー」
「困ります」
「……どうしてです?」

まさか薬を突き返されるとは思っておらず、白瑛は驚きを隠せないでいる。
法正は逃げるように立ち上がると、部屋を出ようとする。が、法正が部屋の戸を開ける前に先に扉が開いた。

「おお!やはりここに居たのか法正!」
「劉備殿!?」
「白瑛も、久しいな。元気か?」
「え、ええ…お陰様で」

突然現れた主君に二人は慌てて拱手する。それを劉備は笑って制すると、法正の肩をばしばし叩いて喜びをあらわにしながら語った。

「法正!お前の策のおかげで最近では怪我人も死者も減ったぞ!本当に皆救われている。感謝する、法正!」
「なるほど、それで最近はここの利用者が減ったのですね」
「うむ、その通りだ!白瑛も少しはゆっくりできるようになったか?」
「ええ……とはいえ、法正殿が毎日くるので、ゆっくりはできませんが」

劉備は大きな声を上げて笑うと、先日の軍議について相談があるから後で部屋を訪ねるよう法正に伝え、颯爽と去っていった。
しん、と静まり返る部屋。先に声を発したのは、白瑛だった。

「法正殿のおかげで、怪我人や死者が減っていたのですね。そのせいで、今度は法正殿が体調を崩している、と」
「……別に俺は…」
「駄目です、知ったからには見逃せません!」

白瑛が法正の手を掴んで、部屋へ引き戻す。

「お勤めなので辞めるようには言えませんが、せめてこの薬だけでも飲んでください。……これは眠気を誘いません。活力を与えるものです。これならいいでしょ?」

新たに手に乗せられた薬をじっと見つめると、法正はため息を吐き、それを懐へと仕舞う。

「わかりましたよ。こちらはいただいておきましょう。それと、これをいただきに来るという、定期的にあなたの元へ通う言い訳もできたことですしねぇ」
「言い訳がなくてもあなたは来るでしょ?」
「ふっ、まあ、そうですね。では、劉備殿を待たせていますから、名残惜しいですがこれで」

では、と短く告げると、法正は今度こそ部屋を出ていった。
法正殿に劉備殿まで来て、まるで嵐のようだった、と白瑛は思う。



「まったく、誰のためにやっていると思っているのやら」

法正は独りごちる。犠牲の少ない策を練り、白瑛の負担を減らすーーというのは言い訳で、本当の目的は別のところにある。

「他でもない俺自身のため…ですがね」



白瑛に近寄るものは自分だけで良い。



法正の戦略は何も戦に限ったものだけではないのだ。
続きを読む>>

三国無双

法正

2024/02/13

「何を食べているんですか?」
「お茶漬け〜」
「こんな夜中にですか?太りますよ」
「いいの〜明日その分運動するから」
「……では、こうしてはどうですか?今から俺とそのお茶漬け分の運動をするのは」
「いや、遠慮しておく。明日仕事だし」
「まあまあ。俺はあなたに飢えているんです。俺の夜食はあなたというわけです」
「いや、ちょ、せめてお茶漬け食べさせて!お茶漬けー!!」

三国無双

フェイタン

2024/02/13

「何食てるか?」
「お茶漬け」
「……ワタシも食べるね」
「いいよ、ちょっと待ってね」
「お湯入れるだけ、違うか?」
「これねー、ちゃんとしたいいお茶漬けなの。だからちゃんとだしパックとお茶パックそれぞれ使って作るんだよ」
「ふぅん…」
「はい、できたよ〜」
「謝謝」
「ん?」
「……間違えたね。ありがとう」
「どういたしまして〜」

hxh

Toxphobia(法正)

2024/01/25

※主人公「銀黎」固定



あの人の目が怖かった。
私を値踏みするような、心の奥の奥まで見抜くような、あの恐ろしい目が怖かった。
会うたびに彼は唇の端を吊り上げ、にやりと笑い私を見つめる。私が何をしたというのだろう。何故、私なのだろう。完全に目をつけられているのは肌でわかる。

(何なんだろう…)

とにかく不気味だ。早く目標を変えてほしい。
私は居心地の悪さを感じながら、毎日を過ごしていた。

ある日のことだ。私は練武場で鍛錬をしていた。
的を人に見立てて剣を振る。汗が伝うが、そんなの気にならないくらい集中していた。
だからだろうか。不意に嫌な視線を感じて剣を止める。振り返るとそこにはあの男ーー法正が少し離れたところからこちらを見ていた。

「おや、気づいてしまいましたか」
「ッ……法正、殿」

私は法正に初めて話しかけられた。だんだんと近づいてくる法正の圧に負けて一歩、また一歩と後ずさる。怖い、この人が。

「銀黎殿、いつも俺のことを避けていますよね?」
「い、いえ…そんな…」
「そんなことあるでしょう?」

いつの間にか塀の側まで追い詰められており、私は焦り出す。もう目の前まで法正がきており、私は逃げられないと悟った。
法正が私の顔の横に両手をつく。近くで見るとなかなかに綺麗な顔立ちをした青年であることがわかった。だからといって胸が甘い音を立てて高鳴ったりなどはしない。むしろ不穏な音を奏でているくらいだ。

「あなたは俺から逃げている。それは何故か?俺が恐ろしいから。そうでしょう?」
「そ、んなことは…」
「あるはずです。ですが、それはつまり…あなたが俺を強く意識していることと同義だ」

吐息がかかるほど顔を寄せられ、このまま食われてしまうのではないかと恐ろしくなる。
しかし、法正はあっさりと身体を離し、私を解放した。

「何かされるんじゃないかと思いましたか?」
「…………」
「何もしませんよ」

法正は言うや否やくるりと背を向ける。そしてそのまま去るかと思いきや、突然振り返って私の唇に己のそれを無理やり重ねてきた。

「んっ!?んん〜〜〜ッ!!」

急いで法正の肩を押すが、びくともしない。こいつ、本当に軍師なのか!?
しっかり貪られ、ようやく解放されたかと思いきや、また唇を重ねられる。それを繰り返され、気がつけば息も絶え絶えになっていた。

「……ああ、先ほどの言葉は嘘です。あなたを油断させ、唇を奪うための、ね…」
「……なんて人!」

法正は私が睨みつけても何ともない風な顔をして、喉を鳴らして笑う。

「今度はあなたの心を奪いますよ。覚悟しておいてください」

法正はそう告げると今度こそこの場を去っていった。
やはりあの男は恐ろしい。ますます苦手意識が増してしまったようだ。
続きを読む>>

三国無双

ハンバーグ食べれるかな?(フェイタン)

2024/01/14

※主人公「リノーゼ」固定



「フェイタンさ、食べ物に色々制約があるじゃん?どういうものなら食べれるわけ?」
「コンビニ弁当とかスナク菓子ね」
「えええ…栄養偏りそう…ハンバーグとか絶対に無理じゃない?」
「恐ろしいね」
「あっ、そうだ!ゴム手袋とマスクして作ったやつは?それなら食べれる?」
「まあ…それなら」
「じゃあそれでハンバーグ作ってあげる!待っててね!」
「……まあ、期待せずに待てるね」



「はい、できたよ〜!」
「うおー!うまそう!!すげぇ!!」
「なんで全員いるか」
「だって、リノーゼがご飯作ってくれるっていうから」
「えへへ、みんなの好きなもの聞いて頑張って作っちゃった!」
「まさか和食まであるとはなぁ」
「ボノのオーダーが一番難しかったかな?調べまくったんだよ〜」
「ありがとうリノーゼ」
(ワタシだけの料理が)
「おいしいよ、リノーゼ」
「よかった!フェイタン、どう?一番それ頑張ったんだけど…」
「……まあ、悪くないね」
「んだよ、素直じゃねーな!」
「うるさいね」
「ふふ、よかった!」

hxh

フェイタン夢

2024/01/14

※主人公「リノーゼ」固定



「遅かたな」
「ごめんごめん、商店街の端まで自転車で行ってて」
「この雨の中か?」

リノーゼの手にはソフトクリームが握られている。まさかあれを買うためにこんなにも時間をかけて出かけていたのか?
他の団員たちはもう先に行っている。急がねぇと。

「行くよ。もうみんな待てるね」
「はあ〜い…あ、でもこれ食べてからでもいい?」
「……早くするよ」

本当だったら許していないだろう。だけど、リノーゼが時間をかけて買ってきたものだ。きっとどうしても食べたかったのだろうと思って、食べることを許す。

「フェイタンさ、優しいよね」
「……ハ?」
「だって、私のことこんな雨の中待っててくれてさ、今も待ってくれてる」

こいつ…まだ気づかないのか?

「鈍感も困たものね」
「どういうこと?」
「いいから、ととと食べるね」
続きを読む>>

hxh

フェイタン夢

2024/01/14

「一緒に暮らしてほしいの」

そう言ったら、返事は返ってこなかった。
だけどフェイタンは笑った。眉を垂らし、頬を染め、口の端を吊り上げ、確かに笑っていた。
きっとあの時は一緒に住むことなどできなかったのだと思う。だけど、あの時の笑みがフェイタンの本心なのだと信じている。

ねぇ、フェイタン?
続きを読む>>

hxh

パスワード制限されています。
閲覧する


sweet sweet sweet(法劉)

2024/01/06

※元ネタ→劉備の手から何かを食べてキスをして、あとは何が起こったかわかりますね



「法正!買ってきたぞ!」
「ありがとうございます、劉備さん」

劉備の手には有名店のケーキの箱がぶら下がっている。
ケーキを食べたいと言い出したのは法正だった。あの甘いものが嫌いな法正がケーキを?と思ったのだが、珍しく可愛いお強請りだったため、劉備は快諾してケーキを買ってきた。
コーヒーを入れ、箱を開けると色とりどりのケーキが並んでいる。

「こんなに買ってきたんですか?」
「どれが好きか分からなかったからな」

法正は暫く考え込むようなそぶりを見せると、ガトーショコラを手に取る。そしてそれを劉備の手に直に乗せた。

「何をするのだ法正!?」
「このまま俺に食べさせてくださいよ、劉備さん」
「む、むうぅ〜…」

またしても変なことを言い出した、と劉備は渋面を作る。しかしてに持ってしまったケーキはどうすることもできず、仕方なく法正の口元へと運ぶ。
法正はケーキを丁寧に食べる。その間、何かの動物に餌でもあげているようだと劉備は思っていた。そうでも思わないと、恥ずかしくてやってられないのだ。
ケーキがなくなり、手を洗おうと思い劉備が手を引こうとすると、法正が劉備の手を引く。そしてねっとりと舌を這わせた。

「ひゃっ!?ほ、法正!?」

クリームとスポンジの欠片を舐めとる舌の動きはいやらしく、劉備はそれだけでもぞくぞくと感じてしまう。皮の薄い指の間にまで舌が這い、劉備は思わず声を漏らしてしまった。

「あっ…あんっ…ほうせい…!」
「ふっ…可愛らしいですね、劉備さん」

法正は最後に劉備の手にキスを落とすと、劉備が照れる間も無く抱き抱える。目指すは当然、寝室だ。
続きを読む>>

BL

色香(法劉)

2024/01/06

※元ネタ→法正によって香水を纏わされてマリリンモンローのように裸で寝る劉備



ある日の夜、劉備がいつも通り法正と寝ようと布団に潜り、隣を開けて待っていると法正が何かを手に持って来た。

「む、なんだそれは?」
「俺の愛用している香水です」

ブラックのボトルに金のキャップがついたそれは、見た目からしても法正らしいと思った。
しかし、自分には関係ないものだと思っていた劉備は後に完全に油断していたと語る。
法正は劉備の部屋着を脱がせ始める。ああ、するのだな、と劉備も恥ずかしいながらも受け入れて、されるがままになっていた。
全裸になった時だった。いきなり法正が先ほど持って来た香水を劉備に向かって振りかける。

「わっ!?何をするのだ、法正!」
「マーキングですよ」
「さあ、今日はそれで寝てください。何処かのセックスシンボルの女優のように」
「なっ…!?」

劉備は絶句した。性交する方がもちろん恥ずかしいのだが、何もせず、この状態で自分だけセックスアピールを振りまいて想い人と寝るのもなかなかの羞恥を伴う。
法正は明らかに面白がっている。「さあ、もう寝ましょう」と電気を消すと、いそいそと劉備の隣に潜り込んだ。服を着たままで。

「何故私だけ全裸なのだ!おかしいぞ!」
「それがいいんですよ」

法正は喉を震わせくつくつと笑う。劉備は抵抗したかったが、もうしっかりと抱きしめられていて身動きが取れそうにない。諦めてこのまま寝るしかなさそうだ。
目を閉じると、法正の香水の香りと、法正自身の香水の香りが混ざって、とんでもない媚薬に包まれているかのような気分になった。
結局劉備は一人悶々とした気分にされ、先に寝た法正を殴ってやりたいと思った。
続きを読む>>

BL

爆豪

2023/12/31

※プロヒ夫婦で二人とも激ヤバ案件片してくたくたで帰宅してそのまま風呂になだれ込む話



ザバァァ…
「はぁ〜〜〜生きかえ…いや、しぬ…」
「ねみぃ…」
「…?なにそれ、疲れマラってやつ?」
「そんなん」
「はぁ〜、疲れてるのか元気なのかよくわかんないねぇ…」
「疲れとる」
「でもチンコだけは元気」
「ありったけの元気かき集めて最後に一発ブチかまそうとしとるんだろ」
「俺の股間がハウザーインパクトってかw」
「んだそのB級AVのタイトルみたいなの」
「ありったけの〜精子〜かき集め〜……」
「……」
「……はぁ…」
「……マンピース」
「それAVのタイトルw」
続きを読む>>

hrak

前へ次へ