マンションについて部屋に運ぶまでに、辛いだろうからって話しかけたんだけど。
「…あーだからかゆき乃さんが可愛く見えるのは。」
ニッコリ微笑むイケメン堀夏喜、この子、樹以上にずるくない?言った私が思いっきり恥ずかしくなるなんて。
「…お姉さんをからかうな。」
「からかってないですよ。」
「本気にしたらどーすんだ?」
「本命チョコくれないんですか?」
ドアを開けて鍵を閉めると夏喜がギュっと手首を掴んだ。…嘘でしょ?
「夏喜、熱あるからって我を忘れないでよ。」
「熱あっても酒飲んでても、俺はちゃんと選んでますよ。」
若い子の引き出しはどんだけあるんだって。
学生の頃に、隣のクラスにいた同じ名前の子が、彼氏が5人いるって言ってた。大人っぽくて痩せてて綺麗で、この子ならありえるって思ったんだ。
まずいでしょ、これは、さすがに。
覚醒しつつある夏喜に薬を飲ませて身体をマッサージすると眠気が一気に襲ってきたのか、スヤスヤと深い眠りに入った。
あぶなーい。あぶなーい、なんて焦る私を見透かすように、部屋の呼び鈴が再び鳴った。
まぁ来ると思ってたけど。