覗きアナから見るとやっぱりな顔が寒そうにそこに立っている。
「さむーい、ゆき乃さーん。冷えちゃったよあっためて!」
入るなり抱きつくものの、玄関先にあった夏喜の靴を見て小さく溜息をついた。
「まさか寝てる?え、やっちゃったの?」
ぷーって頬を膨らませてわたしを覗き込むその顔に苦笑い。
「やってはいないよ。」
「でたよーゆき乃ー。」
呼び捨てにされてちょっとドキッとする。
「夏喜くん、樹と同じ歳、だっけ?」
「...うん。」
「たく、ゆき乃さんほんと色気とかあるから気をつけてよね?俺で止まればいいけど、直人さんにバレたら大変でしょ。」
よく分かっている私の胸の内。赤い髪に指を差し込んで撫でると「...それわざとやってんだろ、」壁を背にドンっと手をつかれた。
髪撫でられるの好き、って前にボソッと言ってたのを忘れずに覚えているわけで。スイッチ入るって。
実行するなら今だ!って思ってやってみたけど、相変わらず据わった大きな目で私を見つめるから、至近距離で誤魔化すようにニカッて笑うと、唇にカプっと噛み付かれた。
「ンウーッ、ひょふふぁん、」
バタバタするけど、そのまま舌を強引に絡み合せて力が抜ける。この媚 薬みたいなキスをされると何も言えない、何もできなくなる。
壁に背をズズズとつけて落ちそうになった私を片手で支えると、舌を出して耳朶をまたカプっと甘噛みされた。
「ここで抱いていい?」
「だ、ダメ。」
「なんで?」
「夏喜が起きたら、」
「じゃあ俺もう帰ろっかな。」
スっと私から離れる彼の細い手首を掴む。
「ねぇずるい。そうやって私のこと支配しないでよ。」
「無理だよ、ゆき乃さん。本当は分かってんでしょ?」
ツーっと唇に指を這わす彼はえくぼを見せて指を口の中に入れ込んだ。
「あなたの心も身体も、直人さんでも樹でも夏喜でもなく、俺だけのもんだって。」
「...ん、」
ペロっと舌を出すとそれをじゅるりと吸い込む。
バレンタインの今夜、翌朝夏喜が目覚めるまで、いっぱい愛してね。
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