夢見心地な一夜C



「どうした、ゆき乃、まだ指しか挿れてないぞ、」
「んうっ、だってっ、」

いつ脱がされたのかも分からないし、杏寿郎さんがいつ脱いだのかすら記憶にない。
けれど、私を組み伏せる杏寿郎さんは全裸で、私の脚を開脚させてそこに顔を寄せている。
大きな目が優しくこちらに微笑んで「ゆき乃のその顔、堪らないな…、」そんな顔して言うのズルい。

「説得力ないです、もぉ、」
「ははは、すまない。つい嬉しくて口が軽くなってしまうな。」

確かに、こんなに喋るあなたも珍しい。
仕事じゃ必要不可欠なこと以外の話題は与えられないから。
プライベートな話を聞く前に次の仕事を初めてしまうし。

「杏寿郎さん、来て、」

腕を伸ばすとすぐにムクリと起き上がって身体を寄せてくれた。
迷うことなく舌を絡ませる杏寿郎さんの手はゆっくりとまた太腿を通って濡れているそこへと移動する。
花弁を掻き分けて奥に指を挿れこまれて身体中を快感が突き上げた。

「きみのここは正直だな。」
「もう。…今度は私がやってあげる。」

やられっぱなしで悔しいから大きくそそり立っているソレに手を伸ばしてキュッと掴むと「クッ、」ほんのり目を細めた。
その顔すら愛おしい。
亀頭にチュッとキスをして、付け根まで飲み込むように口に含むと杏寿郎さんが大きく肩で呼吸をした。私の頭に軽く手を当てて撫でる杏寿郎さんを気持ちよくさせたくて。

「うむ、うまいな、ゆき乃は。妬ける…」

ヨシヨシって子供みたいに撫でらる。
そんな姿に私は妬けるって言いたい。
だから舌を絡ませながら何度も吸い上げると、杏寿郎さんの腹筋がぽこぽこと動いているのが分かった。
お腹に力を入れて堪えているんだって。

「ゆき乃、それ以上は!」

そう言うが、杏寿郎さんの腕が私を止めて、そのまま自分の身体の上に引き上げてギュッと抱きしめられた。
熱く汗ばんだ身体に抱きしめられて胸がギュッと締め付けられるようだ。
コテっと彼の身体に寄りかかるとまたギュッと強く抱きしめてくれた。

「すまなかった。最初はできればゆき乃の中で昇天したいと思って。ありがとう、口でしてくれて。後はもう俺に任せろ。」

杏寿郎さんから繰り出される言葉にコクリと頷くと、私のお尻を持ち上げてそこに杏寿郎さんのを宛がった。
ニュルリといつでも受け入れられるであろうそこに自分のを掴んで下から挿入した。
途端ーー身体中に刺激が走って呼吸があがる。

「く、締め付けるな、」

そうやって顔を歪めるその姿が堪らなく愛おしくて杏寿郎さんの頬を両手で掴んで唇を重ねた。
そのままゆっくりと腰を回すように腹筋を使って動き出す杏寿郎さんは、器用にキスをも堪能しながら律動を深める。
普通、上に乗ってる方がこれって腰振る役目なんだろうけど、杏寿郎さんに限ってはそんな事微塵も感じさせないであろう、下から突き上げてくれる。
子宮の中が気持ち良すぎて身体がおかしくなりそう。

「アンッ、ヤッ、ンンンッ、」

声なんてもう我慢できなくて。
喉の奥がカラカラして痛いくらいで、杏寿郎さんの口の中の水分をキスで奪う。
そのままふと止まると「倒してもいいか?」そう聞かれて、「はい。」頷くとムクリと起き上がった杏寿郎さんが足元の方に私を押し倒して正常位に変わった。

「俺もそろそろ限界だ。このままイってもいいか?」

やっぱり律儀にそう聞く杏寿郎さんが可笑しくて笑いながら「いいよ。」ちゅっとキスをして律動を速める杏寿郎さんの首に腕を回して後ろで交差させた。
身体がベッタリとくっついて前屈みで私を抱く杏寿郎さんが、耳元で甘く吐息を漏らしている。
長い髪に指を差し込んで撫でると、少しの後、杏寿郎さんの身体が私から離れて一気にソレを引き抜いた。
ドロリとした白濁した液が私のおへそ付近に投げ出されて、それを気持ちよさげに目を細めてベッドの上、ティッシュに手を伸ばして拭いてくれた。

「すまない、出す場所までコントロールできなくて。今日はゴムも持っていないからそのまま挿れてしまったが、子供ができてもできなくても、責任は取るつもりだ、安心しろ。」
「お嫁さんにしてくれるんですか?」
「当然だ。ゆき乃の淫らな姿をこの世で俺以外に見せる訳にはいかないからな。」

真面目な人だと思っていたけど、とことん真面目な人だった。
でもそんな杏寿郎さんが、世界で一番大好き。
ギュッて抱きつく私を杏寿郎さんの大きな身体がすっぽりと包んでくれた。



-fin-

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