お昼休みになると今まで寝ていたのがまるで嘘のよう、拓真がムクッと起き上がって学食にパンを買いに行く。
当たり前にわたしは拓真の後を着いて行く訳で。
中学生の時から暴走族チーム【one】に入っている拓真は、この高校でも有名な不良…ヤンキーである。
制服を引きずるように腰で掃いていて、ちゃんと履いていない上履きがカラカラなっている。
誰も拓真にぶつかる人はいない。
先輩すら拓真に絡んだりしない。
「拓真こっち」
「おう」
全てはバックにこの人がついてるから。
金色に近いサラサラの髪と茶色い瞳は何もかもを見透かすようでわたしは直視できない。
暴走族チーム【one】の八代目総長、中村友樹。
基本的に一般人に手を出すような事は一切しないけども、この人がキレると誰も手に追えないくらい強い。
・・――――らしい。
だってわたしは見たことがない。
そーいう場所には絶対拓真はわたしを連れて行かないから。
「はい」
四人分のパンをテーブルに置くとそれぞれ手に取った。
友樹の隣にはマキ。
友樹の女。
相思相愛で、学校でもたまり場でもいつもベタベタしている。
わたしはこの二人が好きじゃない…