呪術廻戦 伏黒恵

 私、藤守七緒は同じ呪術高専の伏黒恵と二人で地方遠征の任務に来ていた。東京を拠点にしているものの、呪いは各地域にたんといて、それを私達が手分けして払いに行っている。故にこのような地方遠征も稀にあるのであった。

「疲れたー」

 無事に呪いを払い終えた私達。肉弾戦派の私は毎回わりと体力消費が多かった。呪力を身体に流して戦う事も慣れてはきたけれど、まだまだ修行あるのみだ。

「恵〜お腹空いたね」
「…あぁ、つーか藤守こんな所で寝るな、宿もうすぐそこだから」
「うん。でも恵の肩って安心するっていうか…」

 しぱしぱする目を擦りながら身体をこれでもかってくらい恵に押し付けるのはいつものこと。それでもそんな私を拒否することなく受け止めてくれる恵って実はめちゃくちゃいい男なんじゃないかと最近思い始めていた。でも意識しちゃうとこういう二人での地方遠征任務の時とかそれなりにやりづらくなりそうだと思って敢えて気にしないようにしていたんだ。
 とはいえ、殺伐とした東京とは違う長閑な景色とか澄んだ空気とか普段味わえないものを身体いっぱい吸い込むのは気分がよかった。なんなら満天の星空とかも見れちゃうのかな…なんて思って民宿の受付に恵と二人でチェックインをする。

「伏黒様2名様ですね、ご予約承っております。お食事はお部屋でとられますか?」

 受付の女性がにこにこしながらそう聞く。恵は振り返って「どうする?」なんて聞くから、疲れていたし部屋がいいって答えるとそうしてくれた。

「大浴場は24時までご利用できますので。お部屋は皐月の間になります。ご案内致しますのでこちらへどうぞ」

 女将のような人が出てきて会釈され、私達の荷物をカートに乗せると歩き出した。でも恵は止まったままで、なんなら眉間にシワを寄せている。

「恵?どうかした?」
「いや、部屋って一つだけですか?」

 そう言えば、皐月の間としか言わなかった。キョトンと恵と顔を見合わせてから受付の女性に聞くと、すんなりと「はい、一部屋で承っております」迷いなく答えられた。

「いや俺達そーゆんじゃ。つか伊地知さんのミスなんじゃねぇか、これ!あの、できれば二部屋に変えて欲しいんですけど」
「申し訳ございません。生憎本日は満室でございまして…」
「…マジかよ、」

 頭を抱える恵の腕を引っ張って「仕方ないよ、一泊だけだし、我慢しよ?ね?」そう言うも、納得しそうもない表情で。こんなに困ったというか、困惑している恵の表情は初めてだった。
 それでもこれ以上民宿側に迷惑をかけられないと思ったのか、渋々承諾した恵と二人、皐月の間に通された。
 当然のことながら、襖の向こうには布団が二組寄り添うようにして敷いてあって、それを目にした瞬間強烈なエロスを感じたなんて。とはいえ、恵とどうこうなるなんてことは有り得ないか!とあっけらかんとして私はベッドにダイブした。
 恵はというと、早速伊地知さんに電話をして文句を言っている。シーンとしているから受話器越しに伊地知さんのすみません!を連発する声が聞こえてくる。やっぱり間違えたんだと思った。ここんとこ私達だけじゃなく、虎杖や野薔薇も地方遠征したりしてるから、手続きも大変だったろうなって。急に棘先輩に変わる事とかもあったし、男2名だと勘違いしちゃったのかもしれないなぁなんて呑気に思いながらふぁ〜と欠伸をする。全くもって緊張感のない私を見た恵は、盛大な溜息をついた。

「やっぱり伊地知さんのミスだった。…とりあえず風呂行ってくる。藤守も行ってくれば?」

 ゴソゴソと恵は自分の遠征バッグをあさって、綺麗に整頓されたお風呂セットを取り出すと私に視線を移した。

「うん。そーする!」

 ゆっくりと温泉に浸かって全身リフレッシュした私はほかほかする身体に宿側が用意してくれた浴衣を着て恵の待つ皐月の間へと戻った。
 ちょうど食事の用意をしにスタッフさんがコース料理を運んできてくれて、伊地知さんナイス!なんて私は早速背凭れのある椅子に座った。先に戻っていた恵も、沢山のコース料理を前にほんのり頬を緩ませているのがわかった。

「それではごゆっくりどうぞ」

 ペコリとお辞儀をして出ていくスタッフさん。私は濡れた髪にドライヤーをかけることもせず箸を手に「いただきます」美味しい地方料理に舌鼓を打つのであった。

「…マジ、危機感0だな藤守」

 ふぅ〜と恵が脚を崩して胡座をかく。箸で山菜の天ぷらを取ると綺麗に口に運んで咀嚼音を出す。一人用のすき焼きもたらふく食べてその場に寝っ転がる私を見て恵が呆れた顔をするのはわかる。

「いーじゃんたまにはこんなのも!そもそも私と恵が今更どうこうなるなんて、有り得ないでしょう!」

 ニーっと笑ってみせると、立ち上がった恵が寝そべっている私の横にストンと腰を下ろした。そのまま恵の骨張った指先があろうことか、首筋を掠めた。見上げた視線はトロンとしていて…

「え、恵?」
「うるせぇ黙れよ」

 ドンッと、壁ドンならぬ、床ドンをされてしまった。トクンと胸が激しく爆音を鳴らしていて、恵のサラサラな黒髪が真剣な恵の瞳をチラチラと見え隠れさせている。

「恵、あの、」

 ちゅ…触れたのはほんの一瞬だった。というか、触れたかどうかすらもわからないほど秒で終わったキスに私の心は大きく乱されていて…
 お酒を飲んでいないはずの恵の頬は、耳まで真っ赤で…

「ふざけんなよ。俺がどんな気持ちでここにいるのか、少しは考えろ」

 そんな事を言われても、わかるわけないのに。困ったように眉毛を下げる私に、恵は「はぁ〜」その場で溜息をついて、私の上から降りて片膝立てるとそこに顔を埋めた。

「あの、恵くん…」
「なんだよ」
「なんだよって、怒ってる?」
「あぁ。…こんな状況になっても藤守に手出せない自分にな」

 なによそれ。なんなのよ…。そんな思い詰めたような顔、狡いし…ぎゅっと恵の着ている浴衣に手をかけると、ビクっと恵がこちらを振り返った。
 自分でもよくわかっていない。でも―――

「出せばいいじゃん。私は構わないよ、恵となら…」

 恥ずかしくて恵の顔なんて見れない。だから俯いたままそう言った。でも、想像以上に自分の心音が爆音を立てていて、なんなら心臓口から出ちゃうかもなんて思えるくらいに気持ちが高まっている。

「本気か、よ」

 確認するような恵の言葉。恵もきっと緊張している。だからか、ゴクリと生唾を飲み込む音が聞こえた。シーンとした部屋の中で、風のせせらぎとか虫の鳴き声とか、そんなのに混ざって私達の吐息が漏れる音すら聞こえてしまう。
 コクリと頷くと、ガバリと恵に抱きしめられた。

「言っとくけど、途中で無理って言われても止められるもんじゃねぇぞ、俺。…こっちはずっと好きだったんだから」
「え?」

 好きだった…って言葉に顔を上げると恵と目が合う。うわぁ、めっちゃ真っ赤、恵の顔。でもきっと同じぐらい私も真っ赤に違いない。全身の血液が顔に集中しているのがわかるもん。

「お、女に二言はない」

 意気込んでそう返せば、プッと笑って表情を和らげた恵がゆっくりと私に覆い被さるようにして唇を重ねた――。
 畳の上で服が擦れる音が鮮明に鼓膜を刺激する。綺麗な恵の頬に手を添えるとコツっとオデコが触れ合う。それと同時にまた唇が重なる。ちゅるりとほんのり開いた隙間から恵の生温い舌が入り込んできて身体が熱く痺れるような気分になる。

「んっ」

 口から漏れる声に、恵のキスがより深くなっていく。柔らかな恵の舌が口内を動き回る。ちゅるりと上顎から歯列をなぞられてゾクゾクと身体が震えた。なにこれ、めちゃくちゃ気持ちいいっ。

「んっふうっ、ふっ、」

 声が我慢できなくて、こんな恥ずかしい喘ぎ声なんて初めてで、それでも気持ちがいい事の方が断然勝ってしまう。ぎゅっと恵の浴衣を手で握れば恵がそこに甘く口づけた。

「藤守、あっちに移動してもいいか?」

 襖の奥、仲良く並んだ布団を指差す恵はほんのり息があがっていて、いつもの訓練や戦いではそんなに息も切れていないというのに、今は熱い吐息を存分に吐き出していて、それがまたエロさを倍増させて見えた。
 布団の上で向かい合うと、恵が私の肩に手をついてそこに体重を乗せるようにして押し倒した。トサッと痛くないように後頭部を押さえててくれちゃうあたり、紳士的だなぁなんて感心する。

「やべ、色々我慢がきかねぇ」

 かなりの興奮状態の恵が私の浴衣をするすると解く。一応キャミソールとパンツを身に着けてはいるものの、胸を縛るブラはつけていない。だからか、エロイな…なんて呟く恵の低い声に視線が絡まった。
 無言で私の胸に触れた恵はそのまま円を描くように胸を揉む。途端に身体に走る快感に私は自然と脚を広げてしまう。

「あんっ、きもちいっ」

 そんな声に恵は私をバンザイさせて腕からキャミソールを引き抜いた。完全にツワになった胸をちゅうっと吸い上げられてビクンと腰が捩れた。尖端を舌で転がされて子宮内がカァーっと熱くなるのがわかった。
 反対の手で胸を揉みながら、舌で甘噛みする恵の黒髪に指を差し込むとサラリとしていて、恵の頭を抱え込むようにぎゅっと抱きしめると、ちゅるりと舌と肌が絡み合うなんとも言えないリップ音が部屋中に響き渡っていく。

「あんっ、やぁっ、んっ、ふうっ、めぐみぃっ、」

 まだ下に触れてもいないというのに、感度の上がっている私の下半身はじんじんしていて、ゆらゆらと腰を動かしながら恵の腕を握ると「煽んなよ、藤守っ」顔を上げた恵の瞳は熱く揺れている。余裕がない恵は初めてだ。
 暑ちぃ…と恵は自身が着ていた浴衣を解いて横に放り投げた。思いの外筋肉のついている身体にドキンと胸が高鳴った。指でツーと胸元を触ると今度は恵がビクンと肩を透かした。

「藤守?」

 気づけば私は恵の上に馬乗りしていて、困惑した表情を見せる恵の喉仏にちゅっとキスを落とす。するとゴクンと唾を飲み込む恵に、またそこを舌でペロリと舐めると「マジでお前エロ過ぎ…」恵が手の甲で顔を隠した。でも私はそのまま恵の首筋に舌を絡めて、ピンっと尖った胸の突起をちゅううっと吸い上げた。

「はぁっ」

 肩を大きく揺らせて呼吸をする恵の両方の突起を存分に口に含んでから腹筋を舌でペロリと舐めると腹に力を入れてるのか、ぽこぽこと腹筋がほんのり動いたんだ。

「これ、脱がすよ」

 黒のボクサーパンツに手を伸ばす。勿論ながらパンツの上からでも十分にわかるくらいモリッと主張している恵に、「あぁ」そう答えたから、スルリとパンツを引き下げて脚から抜いた。ポコンと勢いよく飛び出してきたソレは完全にそそり勃っていて、根本を掴んでスッと一度上にあげると「クッ」ほんのり顔を歪めた。そのままゆっくりと呼吸をして視線をこちらに向けた恵。

「すげー光景だな」

 なんて笑うからほんのり濡れている尖端を舌で突くと「おふっ」と変な声をあげた。それから、やべぇなとか、たまんねぇなとか、ぶつぶつ独り言のように言う恵も可愛いんだけれど、私は大きく口を開けて奥まで恵を飲み込むように咥えたら、「ああああ―――――っ!!」と、気の抜けた声を漏らした。目を細めて気持ち良さに耐えている恵の姿は堪らなく妖艶で、はぁっと時折漏れる吐息が私達のしているこの行為をより一層色付けていくようだ。

「藤守もういい、」

 バッと手で私の頭を押さえる恵。尖端からツーっと我慢できず漏れる滴に私は恵に手を向けて抱っことせがんだ。当たり前に受け止めて抱っこをしてくれる恵。今度は俺の番だと言うかの如く、舌を絡ませながら右手を脚の間から子宮内にツプりと入れ込んだ。そのままもう一本指を中に入れてくちゅりとかき混ぜる。

「ひやああああんっ、あんっ、んんっ、ふうっ、はあっ…」

 恵が指を出し入れしながら、襞を分けてぷっくりと顔を出しそうな突起を親指で擦ると、ビクビクっと身体の中を快感が突き上げる。それでも止めることなく子宮内の壁を指でくちゅくちゅと擦る恵に、私の息は上がる一方。

「恵っ、きもちいよっ、んっ、あんっ、はあっ、ふぅっ、」
「もっと気持ちよくしてやる」

 そんな台詞、恵から出てくるなんて思ってもみなくてちょっと可笑しいなんて思うけれど、身体の気持ち良さになんとも応える余裕がない。脚をひくひくさせながらも恵の指に合わせて腰を揺らせてしまうふしだらな自分に、恵の舌が胸の尖端をちゅうっと吸い上げた瞬間、「イッちゃうううっ!!」ビクビクっと子宮内を締め付けてお尻を震わせた。
 恵がうまいのか、自分の感度が良いのかわからないけれど、こんなにすぐイクことなんてあるのだろうか。涙目で恵を見ると、どこからともなく避妊具を取り出して自身に嵌めていった。めちゃくちゃ気持ちが良かったけれど、本番はこれからだと思い知らされる。私の脚を開かせて膝をついた恵は、自身の根本を指で掴むと、トロトロと愛液の溢れ出ているであろうそこに恵のを埋めていく。

「藤守、ちょっと力抜いて」
「んっ」

 恵に言われた通り、身体を脱力させると一気に奥まで挿いって最奥の壁に恵の尖端が触れた。ゾクリと肩を震わせながらも恵を見つめる。
 ふぅ〜っとお互い息を吐き出すと、視線を絡ませてぷっと笑う。恵は私をぎゅっと抱きしめたまま耳元で動くぞって甘く囁くからコクリと頷くと、律動が始まった。ゆっくりと恵が腰を出し入れする。最奥まで挿入してギリギリまで引き抜くという動きを繰り返しながらも、腰を動かしてほんのり位置をずらしたりしてくるからもう頭がおかしくなりそうだった。
 喉が枯れそうなぐらい声を我慢できなくて、律動に合わせてあんあん鳴く私を見下ろす恵は、ちょっと目を細めて口を緩く開けている。はぁっはあっと短く息を吐き出しながら何度も何度もそれを繰り返す。小さく恵の名前を呼ぶと体制を崩して私に覆いかぶさってまた律動を速める。それが最高に気持ち良くて脳内が真っ白になりそうだ。シーツを握る私の手に不意に恵の指が絡まった。きゅっと強く握ればもうそこまで絶頂はきていて。

「あんっ、もうっ、むりっ、あんっ、イクっ…」

 ぎゅっと目を瞑ると身体がピキーンと弾けるように仰け反って快感が脳を貫いた気分だ。ビクビクと子宮内を揺らせて中に挿入されている恵のをきゅうううんと締め付けた。

「クッ俺もイっ…」

 声にならない恵の声が耳元に優しく落ちた。

 ―――情時後、急に恥ずかしくなって背中を向けた私を恵は優しく後ろから抱きしめる。

「藤守…そのなんだ、色々順番が逆だが、適当な気持ちじゃねぇから。真面目に俺と付き合って欲しい」

 くるりと振り返ると真剣な恵の顔。綺麗な頬に手を添えて「いいよ」と言えば、クッと笑った恵がまた私を布団の上に組み伏せた。

「朝までまだたっぷり時間はあるな。今回ばかりは伊地知さんに感謝だわ」

 二人でお土産を買って帰ってあげよう!って笑ってまた恵との愛の時間に始まりを告げた。
―――【完】