「勇征くん開けるんやったら俺がやるわ。」
颯ちゃんがそう言った瞬間、またドアが開いてサークルメンバーが続々と入ってきた。
だから私達のピアス事情も一旦お預け。
部長の黎弥くんが冬合宿の話をしている中、美月と慧ちゃんは隣同士でなんていうかカップルみたいで。
颯ちゃんがあえて見ないようにしているのか、勇征と喋っている。
「慧人、結構気に入ってるように見えるけど?」
だからか、なっちゃんまで私の耳元でそんな事を呟く。
苦笑いでなっちゃんを見つめた私に「今のうちにやめさせてあげたら?絶対颯太のがいいと思うけど。」…それはそうなんだけどね。
「でも美月の気持ちが大事だし、」
「続ける方が傷つくと思うけど?」
先輩なんだから助けてやれって言わんばかりになっちゃんが私を一瞥した。
なんか腹立つ。
だからなっちゃんを無視して勇征に視線を向けると顔の動きで気づいたのか無言で「どうした?」って言ってくれてる。
やっぱり勇征はなんでも気づいてくれる。
「ねぇ聞いてる?」
「聞いてる!!!どうにもできないから苦しいの!分かんないの?そんな事も!!!」
ついムカっとして大きな声でそう言ってしまったら、みんなが口を開けてこっちを見ている。
「どうした、ゆき乃と夏喜!痴話喧嘩は外でやれよ?」
この場を宥めようとする黎弥くんに「すいません。」頭を下げだ私はなっちゃんを見ないように顔を背けた。
瞬時に聞こえるなっちゃんの深い溜息に胸が痛くて唇を噛み締めた。