一目惚れなんてしないタイプだし、人のもんになんて興味はない。ましてや、友達の女なんて絶対に好きにはならない。―――そう思ってきた。
「勇征ー!」
耳に入るソプラノボイスに脳は思いっきし反応しているけど、身体は一ミリも動けない。勇征より先に動いちゃいけないって、無意識に思ってんだと。
「あ、ゆき乃ちゃん。」
「やっぱりここにいた。もうとっくにHR終わってるよ?今日はアナ雪見るって忘れてた!?」
「…忘れてないよ!」
ニッコリ微笑むけど、絶対勇征忘れてたって俺は分かる。だからか、勇征の彼女、ゆき乃先輩の視線が俺に降りてきてドクンと心臓が脈打つ。
「なっちゃん、勇征忘れてたよね?」
「うん。忘れてたよ。」
「ちょっとなっちゃん!!忘れてないってゆき乃ぉ。」
余計なこと言うな!って顔した勇征は、甘ったれた声でゆき乃の腕を引き寄せて抱きつく。そんな勇征に内心盛大な溜め息をつくものの、涼しい顔で、なんならまたやってるよコイツらって顔で苦笑いを零す俺。
慣れたくないけどさすがに慣れた。
「ムゥ。仕方ない、ポップコーンとカルピスで許してやる!」
「おお、買う買う!一緒に食べようね!」
ふわりとゆき乃の髪を撫でる勇征に、嬉しそうに微笑むゆき乃は頭がおかしくなりそうな程に可愛いなんて。