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「はぁー。」
一つ溜め息をついた俺は鞄を持って下駄箱に歩く。
今頃勇征はゆき乃を後ろに乗せてチャリで駅まで走っていると思うと胸の奥がチクリと痛む。
「なんだその顔は。ゆき乃が映画映画って騒いでたからどーせ落ち込んでるって思ってたよ。」
ポカッと背中を押すのは幼馴染の翔太くん。俺の兄ちゃんみたいな存在で、みんなの中心にいるような人で、いつだって優しくて温かい俺の憧れの人。
唯一、俺のゆき乃への気持ちを知っている人。
「翔太くんだけだよ、俺の気持ち分かってくれんの。」
「どーせなら俺らも行く?アナ雪!」
「え?」
「気になって仕方ないんだろ?あの二人の事。」
「そうだけど。男二人で観る映画じゃないよね?」
「だーかーらー!合流すりゃいいじゃん!まだ間に合うだろ?」
ニカッて歯を見せて笑う翔太くんに背中を押されて、俺達は勇征とゆき乃を追うように、駅前にあるショッピングモールへと急いだ。
「ポップコーンとカルピス、俺が買おうかな。」
「なにそれ?」
映画館についてロビーを見回すもまだ二人の姿はない。だからとりあえず売店の前で販売されてる飲食を物色しようって。
「ゆき乃先輩が勇征にねだってた。…クソ可愛い顔で。」
「なるほどな、あ、あれじゃない?てか勇征ニケツなのにめっちゃ早いなぁ。」
翔太くんの視線の先、仲良くお手手繋いだ勇征とゆき乃が同じフロア内に入ってきた。