「ほんとにあなたは俺の心をくすぐってばかりだ。」
きっと物凄く照れてるって分かる。だから私の肩に顔を埋める勇征の大きな身体にそっと手を回す。
分厚い胸板に顔を埋めるとドクドクと激しく心音を鳴らしている勇征。
「ゆせ…」
みんなが呼んでる「ゆせくん」…本当は私もずっと呼んでみたかった。可愛いなって思っていたから。
「心臓痛てぇし…。…ゆき乃…」
お返しと言わんばかりに真っ赤な顔で勇征が言うから思わず笑う。
嬉しくて、嬉しくて、ドキドキして恥ずかしくて、でもこの好きって気持ちはやっぱり我慢できそうもない。
「しないの?キス…。シラフでキス、」
煽ってるわけでも畳み掛けてるわけでもない。真実っていう名の本音を口にしただけ。
でも勇征は煽られてると思ったに違いない。
「しゅるよ、」
若干の甘噛みと触れた温もりに心拍数が最高潮あがる。もう頭ん中真っ白で、勇征の事しか考えられない。
「噛んだ。」
唇を離した瞬間に小さく言うと、「緊張してんの、俺も。」喋りながらも舌で私の唇を緩くなぞっていて、背筋がゾクリと震える。
「バレンタイン、今からもらっていい?」
「え?」
「ちょうだいよ、ゆき乃の全部、俺に。」
「…あげる。」
こんな台詞を言う日が来るなんて思ってもなくて。恥ずかしいけど、悔しいけどやっぱり勇征が好き。
バレンタインでもホワイトデーもない普通の日常は、こんなにも幸せで溢れている…
END