目眩なのか、なんなのか、倒れそうになってよろける身体をヨッシーが抱きとめてくれるけど。
「触るなよっ。」
ヨッシーになのか、ちょっと怒り気味に私の腕を引き寄せる八木。
「八木?」
「あなたはズルい!あんな可愛い姿見せといて忘れたなんて言わせない!」
両肩に手を置いてそこに顔を埋める八木。高身長の八木が屈んで私の肩にもたれかかっているなんて。
「や、ぎ?」
「思い出せないなら同じことするよ、」
肩の手がゆっくりと頬に移動して止まる。頬なのか唇なのか、親指でなぞる八木のフェロモンは半端なくて。
「本当はずっと前から好きだったの。ねぇ気づいて。素直になれないの、ごめんね。でも好き…、好き…、」
女みたいな台詞と、ほんのり重なる八木の唇に心臓が飛び出すんじゃないかってくらい脈打ってるのが分かった。
「私が言ったの?八木に。」
「そう。だから俺、あの日からずっとゆき乃さんが気になってます。」
吐き捨てるように言われて、力強くその腕に抱きしめられた。八木の肩越し、微かに見えるのはこの場所からいなくなる3人。
山下さんと、北人と、ヨッシー。後ろ手でブンブン手を振って去っていくその後ろ姿に愛を感じるなんて。
「私覚えてない。」
「だと思った。相当酔ってたし。でもだから、本心なんでしょ?いつから俺の事見てた?」
年下のくせにリードしている八木が憎たらしい。そんな風に思うけれど、だからといって私がリードなんてできそうもなく…
「いつからって、ずっと前から。バレンタインも渡したかったけど勇気もないし、手作りしたくても不器用だし。八木は他の女とイチャイチャしてるし。腹立つし悔しいけど、八木が好き。どんな八木でも私の心の中にいるよ。」
もういいやって。ここで素直にならなかったら絶対北人に怒られるし。もうなんか自分の気持ちに嘘つくのも疲れた。
「うん、だから?」
…え?だから??まさか八木、私に言わせる気?だって口端がめっちゃ緩い。なんならアヒル口開きそう。
ムウっとほんのり顔を歪めるとやっぱりな笑顔を見せた。
「それ、趣味?ドS?」
「分かんない。でも聞きたいんだ、シラフのゆき乃さんの言葉で。」
「ムカつく。悔しい!…―――でも好き。めちゃくちゃ勇征が好き。」
悔しいついでに下の名前で呼んだら秒で真っ赤になる勇征。
か、可愛い…。